2017年大飛躍! 松岡茉優が初主演映画で魅せた新たな才能
芥川賞作家・綿矢りさの妄想力爆発のキュートな恋愛小説『勝手にふるえてろ』が大九明子監督によりついに映画化。“脳内片想い”と“リアル恋愛”の2人の彼氏の間で暴走する24歳OLが苦しみながら成長していく姿を描いたこの作品で、恋愛経験ゼロの夢見がちなオタク女子をコミカルに演じた松岡茉優。彼女がエル・オンラインに語った、“非壁ドン系主人公”との共通点とは?
キラキラ系女子の“ホスト役”に回りがち
ーちなみに、松岡さんのなかの「ヨシカ的な要素」は?
石橋杏奈さん演じる親友、来留実と一緒にいる場面で、それを感じました。彼女と話しているときの私は、無意識にすごくたくさん相槌を打ってしまっていて。キラキラした女の子が近くにいると、気づくと“ホスト役”に回っている瞬間が、私にはあるんですよね。ひとりの女性として自分が「負けてる」と思う相手のご機嫌を取って、会話を途切れさせまいと、妙にテンションが高くなっちゃったり。相手はそんなことで機嫌を損ねるような人じゃないのに。それから、小学校の頃、クラスメイトの男の子が自分を好きだと思い込み、痛い目に合ったことも(笑)。周囲にはやし立てられてその気になってしまって……今でもトラウマです。
ー映画に登場する二人の男の子「イチ」と「ニ」なら、松岡さん的にはどちらが好みですか?
ヨシカとして台本を読んだので、「イチ」は私にとっても王子です。でも実際に選ぶとしたら「ニ」ですよね。だって「イチ」は脳内の人だから。私もマンガのキャラクターに本気で恋していたときもありますが、それはあくまで頭のなかのこと。やっぱり現実にいて、話しかければ予想外の返事が返ってくる生身の人間が相手でないと、人間は成長しないんだな、というのは、この作品で改めて感じた部分です。
ーでももしヨシカがあと一歩踏み込めば、「イチ」と現実の関係になれそうな場面もありましたよね。
大人の女性からはそのようにおっしゃっていただくことが多いのですが、あれはヨシカにとっては大変な修羅場なんです。私も台本で読んだときは、「これはもうダメだ、立ち直れない」って泣いてしまったくらいで。あの場面は観ている方の恋愛観がわかる、リトマス試験紙のような場面だと思います。エル読者の方がどうご覧になるか楽しみですね。
Photo : Toshiki Hiraiwa Styling : Ayako Nakai Hair&Make : Miho Matsuda Interview & Text: Shiho Atsumi
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『勝手にふるえてろ』
恋愛経験のない主人公のOLが2つの恋に悩み暴走する様をコミカルに描いた本作。OLのヨシカ(松岡茉優)は同期の「ニ」(渡辺大知)からの突然の告白に「人生で初めて告られた!」とテンションがあがるが、「ニ」との関係にいまいち乗り切れず、中学時代から同級生の「イチ」(北村匠海)への思いをいまだに引きずり続けていた。一方的な脳内の片想いとリアルな恋愛の同時進行に、恋愛素人のヨシカは彼女なりに頭を悩ませていた。そして、「イチ」がやっぱり忘れられないヨシカは、ありえない嘘をついて同窓会を計画。やがてヨシカとイチの再会の日が訪れるが……。芥川賞作家・綿矢りさによる同名小説の映画化。2017年第30回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、観客賞を受賞。
監督、脚本:大九明子
出演:松岡茉優、渡辺大知(黒猫チェルシー)、石橋杏奈、北村匠海(DISH//)、古舘寛治、片桐はいり ほか
2017年12月23日(祝・土)より、全国ロードショー
http://furuetero-movie.com/