インタビュー
2017/12/18(月)

アカデミー賞に最も近い女優、ジェシカ・チャステイン初来日で見せた愛

『神の見えざる手』『Molly's Game』など上質作品に主演し続け、今もっともアカデミー賞最有力と呼ばれている女優、ジェシカ・チャステインがインディペンデント作品として驚異のヒット『ユダヤ人を救った動物園』(現在公開中)を引っ提げて初来日を果たした。そこで語った“愛”とは?

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ワルシャワ動物園長夫妻ヤン&アントニーナ・ジャビンスキ(ジェシカ・チャステイン)はナチスの将校(ダニエル・ブリュール)を出し抜き、300名のユダヤ人を動物園に匿う。

自分が信じることに忠実でありたい…たとえキャリアが傷ついても

―――撮影に当たり、ユダヤ人が大戦時に体験した悲劇に関しては何かリサーチされたのでしょうか?
 
『ペイド・バック』(2010)に出演したときに、ナチやホロコースト、ヨーゼフ・メンゲレ医師(ナチスの医師)に関してはかなりリサーチをしたので、今回は重視したのはアントニーナの残した言葉、そして家族に会って話を聞くことだった。そして、ピアノの練習ね(笑)。ピアノは弾けなかったから! あとは生き物と実際に触れ合っている人たちに会うこと。アントニーナの言葉を読むだけで、彼女がどれだけ生き物を大切に思っていたかがわかった。

日本のプレミアではあまりにファンサービスが丁寧だったため、司会が止めたほど。

Photo: Getty Images

―――最後にあなたのファンからの質問をひとつ。「この映画で“悪”を無視できなかったアントニーナが魅力的です。これは今ハリウッドで起きている問題(ハラスメント)に対して声をあげたあなたの活動と通じている部分があると思っていますが、正しいでしょうか?」
 
それは確かね。自分であること、自分が信じてることに忠実であることを言葉にして行動することは大切にしている。たとえそれで自分のキャリアが傷ついてもね。私にとっては声をあげることのほうが重要だった。でも、アントニーナと比べるのはちょっとおこがましいわ(笑)。申し訳ない。彼女は自分だけでなく、家族、子どもの人生も、すべてのリスクを取って他人を救ったのだから。彼女の行動は、究極の利他的精神にもとづいている。思いやりのある美しい行動よ。彼女のようなヒロイズムに人々がどんどん動かされてほしいと心から思っている。“愛”を使うということはどういうことなのか教えてくれるのよ。ファンからそう言ってもらえるのは本当に嬉しい! でも、やっぱり申し訳ないわ。

 
【取材後記】
本当にハリウッド俳優なの⁉ 驚くほどに慎み深く、謙虚。六本木で開催されたプレミア上映では、進行が滞るほど丁寧にファンへのサインやセルフィに応じて、「神対応」と絶賛されたジェシカ。エル読者限定のミート&グリートでは、「10分だけ」という約束を度外視して、30分もかけてひとりひとりとサイン&ハグ&セルフィを敢行。映画祭でファンを無視して写真だけ撮られて帰る人も多いのに、自分が誰に向けてアピールするべきなのかを誠実に理解している姿はさすが今もっとも人気・実力ともにトップの女優! 来年あなたがオスカーを手にしていないなら、米アカデミーの見識を疑いますと伝えると、「なんてスイートなの!? でも、私よりすばらしい人はたくさんいるから……」と謙遜する姿もハリウッドのクリシェを覆すもの。新婚の旦那様もまるで大企業の社長とは思えないほどソフトなイケメンで、思いやりや善が何よりも重要になってくいた今の時代にふさわしいセレブ夫妻にほっこり。

  • 第二次世界大戦中、アダム・シンドラーや杉原千畝と同じく、ポーランド系ユダヤ人を救った女性がいた。その名はアントニーナ・ジャビンスキ。『The Zookeeper's Wife(邦題:ユダヤ人を救った動物園 ヤンとアントニーナの物語)』のタイトルでベストセラーとなった彼女の物語が実写化され、ついに日本公開が実現。今でも観光名所として存在するワルシャワ動物園の園長夫妻ヤンとアントニーナが、ユダヤ人を動物園に匿い、300名もの命を救った姿を描いた実話。
     
    監督/ニキ・カーロ
    キャスト/ジェシカ・チャステイン、ダニエル・ブリュール、ヨハン・ヘルデンベルグ、マイケル・マケルハットンほか
    公開中
    http://zookeepers-wife.jp/

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