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懐かしの「アグリー・ベティ」のいじわる受付嬢アマンダも、もてなし力があれば仕事も恋もうまくいっていたかも……?

Photo : Getty Images

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ひと手間かけるだけで、おもてなしに深みが

―動作やしぐさでできるカンタンにできる仕事上のおもてなしのテクニックをおしえてください。
 
重田:そうですね。では会社の受付の話をしましょう。通常どういった受付をされますか?

―まず挨拶をします。会社名と名前を聞かれるので、伝えます。受付の方は、座ったまま訪問者の名前をメモして、電話連絡をします……とこんな感じでしょうか?

重田:そうですね。大抵はそうですよね。でも、それは業務であっておもてなしではないです。業務の対応しかされなければ、こちらも業務しかしたくない。そのやりとりにあるのは「ハイ、わかりました」。それしかないんです。逆に、相手がどうしてくれたら、「親切にありがとうございます」や「今日も素敵ですね」などの、業務ではない言葉を言う気になるか考えてみてください。

―難しいですね……。

重田:それが結構簡単なんです。「お名前を伺ってもいいですか?」と尋ねる前に「ようこそお越しくださいました」と言われるだけで、何か言いたくなりませんか? それだけのこと。さらに、言う前に息をすって「(吸った息を大きく吐きながら)あぁ、ようこそお越しくださいました。お名前伺ってもよろしいですか?」と言われたら、もっと業務以外の言葉を返したくなる。

動作なら、座ったままでお辞儀をされて低い声で「お名前と御社名をここに書き込んでください」と言われるより、すっと立ち上がってお辞儀をされた上で同じことを言われたら印象が変わります。業務上のお辞儀であっても、おへその上で手を組んでお辞儀をすると非常に硬い印象になります。そこをお辞儀をして「こんにちは」と挨拶するときに手を胸元にすっと持っていく。それだけで“感情”が表にあらわれるように見えるわけです。すると業務の態勢から、すっとほぐれるんです。おもてなしは業務やマナーではありません。相手の中に、自分の“心”を入れ込む。それが日々のもてなしです。

「私はあなたが来てくださって嬉しいです」という歓待の精神をジェスチャーとして示す。案内をするときも「こちらでございます」の手がおへその高さからではなく、自分の心臓の高さにまでもってきてから出ると心がこもっているように見えます。

―ひと手間かけるということが大事なわけですね?

重田:そうです。“わざわざ”“面倒なことを”“ワンクッションおいて”やること。そこに心がこもります。メールと同じです。いきなり本題に入るより、「お元気ですか?」「その後いかがですか?」「今日は寒いですね」などがあれば、なんとなく温かみが感じられますよね。

  • Profile : 重田みゆき(しげた・みゆき)
    インプレッショントレーナー(R)、印象評論家。国際線客室乗務員では表彰されるほどの接客力を発揮。都内老舗ホテルのVIPラウンジのマネージメントでは、売り上げを100倍にするなど接客のプロとして活躍。NTTドコモ、HondaCarsなどの企業や、政治家や企業役員のメディアトレーニング、大学のホスピタリティ・マネージメント学科で教鞭をとるなど、幅広い年齢層に印象アップの方法をレクチャーしている。近著に『印象力で夢をかなえる。』(三笠書房)がある。

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