インタビュー 2013/12/9(月)
国務大臣にロングインタビュー

【後編】女性活力担当大臣・森まさこ“働く女の生きた道”

「女の道は一本道にございます」。そんな流行語が出回ったのも嘘かのように、ますます働く女性の人生は複雑化してきている様子。そのためか、女性に特化した支援策が世界的潮流になっている今、“女性活力担当”として重責を負う、森まさこ国務大臣にインタビューを敢行。これまでと、これからの政策、そして自身の働く女性としての経験をクローズアップ! 今回は、「ガラスの石ころ」が女性の働く道をはばむと語る、後編を公開。

Photo : Osamu Kurihara

森:で、今度は娘が小学校1年生に上がった時です。“小1の壁”というのがありまして…。早く終わるんですよ、小学校。下の子はまだ保育園だから夕方までは預かってもらえる。でも、(1年生だと)小学校が昼過ぎで終わったりして、放課後は児童館が預かってくれる仕組みだったのですが、学校から児童館がめっちゃ遠い! 下の子を保育園に預け、上の子が小学校終わったら私は早退して学校から連れて行き、児童館にあずげてからまた事務所に戻るんかいな……。そんなんだったらもう仕事辞めたいわ、って思たこともあります。じゃあ、小学校から児童館までの間だけベビーシッターを雇ったら……と考えたら、「ベビーシッターは3時間は最低使ってもらわないとダメ」となるわけです。小学校から児童館までのわずかな時間の間に3時間分の料金を払うしかないんですが、ベビーシッター代って高いんです! ベビーシッター代で全部私の給料は、ほぼなくなります。そういうことをずっとやってきて、すべての制度を利用してきました。保育園、ファミリーサポート事業、それから保育ママ、幼稚園、児童館、ベビーシッター、ありとあらゆる早出遅出制度も利用しまくりながら崖っぷちを歩いてきました。今でも崖っぷちですけど。朝、お弁当作ってから来ています。あ、お弁当毎日ツイッターに上げているんですけど人気なんですよ、「森大臣のお弁当」って言って(笑)。

 

だから、今まで自分が苦労してきた部分をひとつひとつ取り除いて、100%解決してパラダイスにはできないけれども、あとに続く後輩女性が、少しでも楽になり、仕事をやめなければいけないとか、仕事を辞めて子育てがひと段落した後に「資格を活かして仕事したい」と思っても仕事がなかったり、あったとしてもパートタイムしか選べないような状態にならないようにすること、それが私の仕事だと思っています。

 

男女が平等ではなく、女性のチャンスが頭打ちになることを「ガラスの天井」とよく言いますけれど、私は男性には見えないけれども、女性の前にいっぱい転がる「ガラスの石ころ」と説明するんです。「よーい、ドン」で男女がスタートしますでしょ。ウチも弁護士同士。夫と私は一緒に司法試験に受かって、頭ひとつで受かって、同期で、なんの差もないのに、私の前だけにガラスの石ころが転がって、先に行かれてしまう。いちいち転んでは、いちいち血を流しながら進んでいる。夫の方は、「あれ? 転んでるな」と思っても、なぜ転んでるのかが分からないんです。なぜなら、男性には石ころが見えないんです。分からないんです。分からないものは助けようがない。だから、その石ころを男性にも見えるようにしていく。その石ころを、行政が取り除けるんだと気づき、みんなで、ひとつひとつ取り除いていくことが大切だと思います。

3 / 3
1 2 3
  • 森まさこ

    1964年、福島県生まれ。国務大臣。女性活力・子育て支援担当大臣、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全、少子化対策、男女共同参画)。自民党参議院議員。弁護士。幼少期、借金取立てに怯える日々を救った弁護士に憧れ、東北大学法学部卒業後、司法試験に合格。「ココ山岡事件」「オレンジ共済事件」など話題となった消費者事件を手がける。日本弁護士連合会の推薦により、長女を出産直後、ニューヨーク大学ロースクールに留学。次女を出産後、夫のワシントンDC留学に同伴し、専業主婦経験を経験。帰国後、2005年金融庁の任期付職員に。グレーゾーン金利の廃止に貢献。2007年参議院議員に当選。2012年より現職。

    公式HP http://www.morimasako.com/

SHARE THIS ARTICLES

前の記事へインタビュー一覧へ次の記事へ

CONNECT WITH ELLE

エル・メール(無料)

メールアドレスを入力してください

ご登録ありがとうございました。

ELLE CLUB

ようこそゲストさん

ELLE CLUB

ようこそゲストさん
ログアウト