特集 2017/11/17(金)

金曜日の毒母たちへvol.2―――ジョーン・クロフォード、娘を絞殺しかけたオスカー女優

「No Wire Hangers!!(針金ハンガーは許さないわ!)」 映画『Mommie Dearest』で子役を殴りながらこう叫んだフェイ・ダナウェイが演じていたのは、ハリウッドを代表する往年の美人女優ジョーン・クロフォード。人々は彼女をこう呼ぶ、“娘を絞殺しかけた鬼母”と……。

踊り子だった自分の過去を一生恥じ、演技力が認められていたにも関わらず他人の悪口に過敏に反応し、生涯私生活の演出に血道をあげた。

ジョーンは流産を繰り返したため不妊になっていた。なのに、何もかも手に入れた完璧な女優のイメージに固執した彼女は、どうしても子供が欲しかった。折しもMGMとの契約が切れ、キャリアも下り坂になり始めていた。そこで1939年生まれのクリスティーナと1943年生まれのクリストファー、さらに双子のキャシーとシンディ、計4人が養子に迎えられた。彼らは落ち目の人気を回復するためのアクセサリーだった。プライバシーを重視したグレタ・ガルボやマレーネ・ディートリヒといった同時代の女優とは違って、ジョーンは私生活もPRの材料に使ったのだ。「母が欲しかったのは服を着せて見せびらかすペットで、感情をもった人間ではなかったんです」と娘は2008年に行われたインタビューで証言している。

『何がジェーンに起こったか?』より。才能ある女優への嫉妬は激しかった。特に演技派のベティ・デイヴィスとは犬猿の仲で、この作品で共演した際は、スタジオ側が彼女たちの喧嘩を煽ることで、宣伝に利用した。

娘の暴露本に抗議した友人たちは「クリスティーナは遺産がもらえなかったせいであんな本を書いたのだ」と指摘した。確かに、ジョーンは遺言で長女と長男から遺産相続の資格を剥奪し、双子の姉妹にだけ100万ドル以上を遺した。「遺産がもらえない理由はふたりが知っている」という言葉とともに。
 

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Original Text: CATHERINE ROBIN  Text: IZUMI MATSUURA

  • エル・ジャポン12月号 

    あの女優がDV加害者だった!? 12月号『エル・ジャポン』ではジョーン・クロフォードほか、ブリジット・バルドー、マレーネ・ディートリヒといった“毒母女優”の生々しい不都合な真実を掲載。

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