金曜日の毒母たちへvol.2―――ジョーン・クロフォード、娘を絞殺しかけたオスカー女優
「No Wire Hangers!!(針金ハンガーは許さないわ!)」 映画『Mommie Dearest』で子役を殴りながらこう叫んだフェイ・ダナウェイが演じていたのは、ハリウッドを代表する往年の美人女優ジョーン・クロフォード。人々は彼女をこう呼ぶ、“娘を絞殺しかけた鬼母”と……。
ジョーンは流産を繰り返したため不妊になっていた。なのに、何もかも手に入れた完璧な女優のイメージに固執した彼女は、どうしても子供が欲しかった。折しもMGMとの契約が切れ、キャリアも下り坂になり始めていた。そこで1939年生まれのクリスティーナと1943年生まれのクリストファー、さらに双子のキャシーとシンディ、計4人が養子に迎えられた。彼らは落ち目の人気を回復するためのアクセサリーだった。プライバシーを重視したグレタ・ガルボやマレーネ・ディートリヒといった同時代の女優とは違って、ジョーンは私生活もPRの材料に使ったのだ。「母が欲しかったのは服を着せて見せびらかすペットで、感情をもった人間ではなかったんです」と娘は2008年に行われたインタビューで証言している。
娘の暴露本に抗議した友人たちは「クリスティーナは遺産がもらえなかったせいであんな本を書いたのだ」と指摘した。確かに、ジョーンは遺言で長女と長男から遺産相続の資格を剥奪し、双子の姉妹にだけ100万ドル以上を遺した。「遺産がもらえない理由はふたりが知っている」という言葉とともに。
Original Text: CATHERINE ROBIN Text: IZUMI MATSUURA