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クレアは政治家の妻でありながら、環境企業「クリーンウォーター」の代表。ビジネスウーマンでもある。それがフランクの出世に大きく貢献している一方、フランクの政治力を企業が有利に活動できるよう利用もしている。

Photo : Aflo

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理由その3 主人公2人の夫婦像がゲイカップルのよう

K: あと、新しい夫婦像に感動。
T: わかる! 私、クレアを心から尊敬します。だって、すべてを知ってるけど、そこに触れずに、夫を指導する。
K: ゾーイとの肉体関係に気づいたときのクレアの対応に興奮しました。夜中に寝ずに待っていて、静かに帰ってきた夫に「で、どうだったの?」みたいな、ふわっとした質問をする。それに対して若干慌てたフランクが「大丈夫だ。すべてをコントロールする」と答えて、「そう、ならいいわ」って。このやりとり、本当に興奮しました。クレアは一定の怒りを覚えているんだけれど、絶対に非難しない。というか気を引き締めさせたんですよ。セックスしたからって気を許すなと。
Y: でも、その後クレアはとある理由でフランクにキレたことをきっかけに、元彼のところに行っちゃうじゃないですか。浮気されても怒らないのに、なぜそこでキレる!? て不思議だった。
K: そこがこの夫婦関係の肝。クレアがキレたのは、フランクが危機に陥ったときはいつも助けてきたのに、自分が助けてほしいと言ったら、彼が「それどころじゃない。俺を助けろ」と言ったから。「自分も夫の駒にすぎないんじゃないか」という疑念をもったときに、他の男に癒しを求めた。 「私はあなたの駒ではなく、あなたと私はお互いに助け合う対等な関係なの 」とわからせるために。これは夫婦像の鑑ですよ。相手が自分をコントロールしようとした途端に、2人とも敢然と反抗しますよね。
N: フランクから議員2人を説得しに行けって言われたときも、言われたとおりにしなかったじゃないですか。「クリーンウォーター」の危機に手助けしてくれなかった分の仕返し。あのエピソードに「妻の私を操ろうなんざ!」っていうクレアの意地を感じたんですよ。
T: あれはスカッとした!
Y: あのシーン、私は「あんなことしたらフランクに怒られちゃ~う」と思って、すごくドキドキした(笑)
K: 逆に、昔クレアに乱暴した軍人が偉くなって目の前に現れて、それを知ったフランクが怒り狂って、暴れまくるシーン。
T: あれもスカッとした。でもクレアはそれをなだめて、フランクに支えられながら自分で性暴力と闘うことを決めるの。
Y: あれはいいエピソードだった。
K: あの瞬間、フランクは完全に“北島マヤを陥れた乙部のりえに全力で復讐する姫川亜弓”になりかけてましたね。
T: えぇ? わかんない!
Y: 「ガラスの仮面」ね。
N: 同意。決して冷たい関係の夫婦じゃない。 資金集めのため、元彼アダムに協力を求めにいくとき、フランクに「黒のドレスと白のドレス、どっちが好き?」って訊くじゃないですか。
K: 覚えてます。
N: そうしたらフランクが「僕だったら白が好きだけど、誘惑するなら黒だな」 って答える。ファッションで夫婦の関係性も見えてくる。あれ、私の好きなシーン(笑)。
Y: ああ思い出した!
N: 2人の目的がしっかりしている。「好き嫌いと、目的のための手段は違う」と両者がきっちり理解していることが羨ましい。ここでポイントなのは「僕だったら白が好きだけど……」と前置きするところです。「黒を着ていけば」と言うだけじゃない。ちゃんと自分の好みも伝えたうえで、「でも、手段としては黒だね」と言える。
T: 本当に大人ですよね。
Y: 素敵~。犯罪者だけど(笑)。
K: 待って待って、思い出して! この人、かなり悪人だからっ! って、我に返ります。
N: ものすごい犯罪者ですもんね。汚職どころの話じゃなく……。
T: 元彼から去って、夫のところに戻る理由も、フランクの手駒であるピーター・ルッソの件で、彼が危機に陥ったので、それを救うため。
K: クレアなしでは、フランクは成立しない ってことが表現されているストーリーですよね。
T: 「この状況には私が必要」ということを思い知らせた。
N: クレアは元彼のアダムとの、一瞬の愛のある生活から去るとき「フランシスと私は切り離せない関係だって」言ってましたよね。
M: クレアとフランクって、普通にみたら奇妙なカップル ですよね。
T: フランクとクレアってセックスレス、いや“レス”ですらないような関係として描かれてる。つまりそんなことに拘るレベルじゃないくらい、強い絆がある。日本人のカップルは世界的に見てもセックスレスカップルが多い。だから、日本人夫婦が目指すべき理想形がこのドラマにある んじゃないか って思うんです。
K: あの2人は愛とかいう薄っぺらな関係ではなくて、共犯関係 だと思います。
T: フランクにはクレアしかいないし、クレアにはフランクしかいないという、絶対的に信頼できるパートナー。それがベースにある。
K: あれは契約結婚した同性愛者の男女カップルに近いものを感じるんですよ。同じ目的と利益の共有のために、結婚という形をとる。そう考えると、あの2人がセックスレスというのも納得できる。あの2人の関係そのものが政治。お互いに自分の利益も相手の利益も抱え込んで、一緒に進んで行く。言い方を変えれば、アメリカそのものかも。共和党と民主党という別々の利益を抱えた二大政党が、アメリカ合衆国というひとつの国を進めるために結束するというか。
N: その対等性は感じます。2人とも夫婦のための行動がすべて自発的。それが素晴らしい。

  • Courtesy of House of Cards Netflix via Instagram 

    「ハウス・オブ・カード~野望の階段」
     
    郵送型DVDレンタルとコンテンツネット配信の先駆け「ネットフリックス(Netflix)」制作の政治ドラマ。『ソーシャル・ネットワーク』『ゴーン・ガール』のデヴィッド・フィンチャー製作。オバマ大統領もチェックしているようで、なんと公式ツイッターでもドラマについてつぶやくほど。セレブにも熱狂的ファンが多く、ジェニファー・ローレンスもファン。同じくジョディ・フォスターもファンのひとりで、シーズン2では監督も務めている。2012年にスタートし、現在シーズン3を配信中。シーズン4の制作も決定している。
     

    ★あらすじと人物相関図は公式サイトでチェック!
    公式サイト/ http://house-of-cards.jp/ (ソニーピクチャーズ)、 http://www.imagica-bs.com/yabou/house_of_cards/ (イマジカBS)、 http://www.hulu.jp/house-of-cards (Hulu)
    公式インスタグラム/https://instagram.com/houseofcards/   

「ドラマ「ハウス・オブ・カード」にエディターがハマる7つの理由」トップへ
  • 〈エル・コンテンツ部“ハウス・オブ・カード熱”感染者一覧〉
     
    エディターT: カルチャー担当。海外ドラマを見るためなら現地にも出向く剛の者。もちろん「ハウス・オブ・カード」は日本語字幕付きを待たずにシーズン3までチェック済み。劇中のなりたいキャラクターはクレア・アンダーウッドだけれど、「実際はゾーイくらい」。嫌いなキャラクターはフランクの部下、ジャッキー。好きなキャラクターはシーズン3で登場するロシア大統領。演じるラールス・ミケルセンは北欧出身の人気俳優で、“北欧の至宝”と言われる俳優マッツ・ミケルセンの兄であることに気づき感動している。
     
    エディターK: ファッション・フィーチャー担当。「ハウス・オブ・カード」を教科書に日々言いたいことも言えないこんな世の中をサバイブしようとしているドラマオタク。なりたいキャラクターはクレア。好きなキャラクターは超セクシーな中国人フィクサー、サンダー・フェン。嫌いなキャラクターはフランクの元部下で、敵となって暗躍するレミー・ダントン。自分の立場も考えずフランクの部下ジャッキーと恋をしてしまう彼の精神の甘さを斬って捨てたところ、周囲にドン引きされる。
     
    エディターM: ファッション担当。「ハウス・オブ・カード」話で盛りあがる輪に入りたいがために観始めた初心者。普段はドロドロしたドラマは見ないようにしているものの、フランク&クレアの野心には共感。なりたいキャラクターはバーベキュー屋のフレディ。好きなキャラクターはゾーイの元同僚で恋人のルーカス・グッドウィン。その理由を「劇中唯一といっていい善人だから」と答えたものの、すぐさま周囲から「結局その善人は負けたじゃん」と指摘され意気消沈する。
     
    エディターY: オンライン副編集長。「ゲゲゲの女房」の星野源を愛でるべく加入した「Hulu」で、思いがけず「ハウス・オブ・カード」にハマったせいで寝不足に。深夜に必死でチェックしているものの、際どい内容のためいつ娘が起きてきやしないか、ヒヤヒヤする毎日を過ごす。なりたいキャラクターは突如登場するハッカーのギャヴィン・オルセイ。ダメ男、ピーター・ルッソを支える有能な秘書クリスティーナの存在に憧れている。

     
    ウェブ・プロデューサーN: 仕事術をこのドラマから学んでいる毎日。クレアの優秀さと同時に、女性としての苦悩に激しく共感。なりたいキャラクターはフランク。好きなキャラクターは元彼アダムと過ごしたときのクレア。なりたくないキャラクターはダグ。 

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