授賞式直前! 映画のプロが語り尽くす2018年オスカー座談会
2018/02/23(金)
> <

1/7

左/1月のゴールデングローブ賞ではニコール・キッドマンをはじめ、来場セレブのほとんどが黒いドレスを着用しTime's upのピンバッジをつけるという徹底ぶり。中/セクハラ撲滅の風はイギリスへも。2月18日に開催された英国アカデミー賞(BAFTA)でも黒ドレスが多数。ルピタ・ニョンゴはピンバッジもON。右/1月28日のグラミー賞は音楽界で働く15人の女性たちの呼びかけにより白いバラをつけることで団結。リタ・オラも賛同。さて、オスカーはどうなるか?   Photo: Getty Images

鎮火しないセクハラ問題。授賞式はどうなる?

よしひろまさみち(以下Y) :さてさて、恒例となった授賞式直前のオスカー談議ですが、ぶっちゃけていうと、ここ近年受賞予測に飽きてきたというか(笑)。

猿渡由紀(以下S) :そうなんですよね。前哨戦の結果とか、SNSの影響もあって、最近事前情報が出まわりすぎてるから。

オスカーノユクエ(以下O) :わかります。僕は長年オスカーを追いかけてますけど、最近はわざと外していくこともあります。本当は獲らないだろって思ってる人をわざと推したりして。

Y :やるやる!(笑) 昔と比べて、ノミネート作品が既に日本で授賞式前に試写含めてこんなにたくさん観られるようなった、という環境が大きいんでしょうね。かつては、皆作品観てもないので好き勝手想像して予想してたから、めちゃくちゃである意味面白かった。

S :確かに! 今じゃみんな外すと恥ずかしいと思うのか、某映画サイトの予想が全員同じだったりとかしてますもん(苦笑)。

Y :ということで、今年はガッツリ予測というより、その背景や候補作についてそれぞれの視点で語っていければと思うんです。ではさっそく、今年のノミネーションで気になったポイントは?

S :私はいちばん驚いたのは、大ヒット作『ゲット・アウト』が作品賞に入ったこと。ホラーなので普通ならオスカーには入らない作品なんですよね。これが入ったのが面白かった。

Y :しかも『ゲット・アウト』って全米公開が2月。そんなに早い時期の作品が入ったという意味でも珍しいですよね。

日本では昨年10月に公開された『ゲット・アウト』は2018年4月11日にBlu-ray&DVDがリリース。(C)2016 Universal Studios. All Rights Reserved.

S :今年のノミネーションを見ると黒人が少ないので、受賞者は白人が多くなりそう。ただ、ジョーダン・ピールもオクタヴィア・スペンサーもとりあえず入ったので、責められるのは避けられたとして、アカデミーはホッとしているのでは。

O :去年から女性問題がクローズアップされるなか、今年これだけ女性映画が出てくるのはすごいなと。『レディ・バード』『スリー・ビルボード』『シェイプ・オブ・ウォーター』と、今年のオスカーでメインを張る3本すべて女性が主役。授賞式ではやっぱり、司会のジミー・キンメルがセクハラ問題をネタにするんですかね。

S :バンバンするでしょうね。セクハラ問題はまだ鎮火してないですし。ただ、ゴールデングローブ賞で「Time’s Up」をあれだけやったのは、オスカーは格式が高すぎてできないから。ベルリン映画祭ではブラックカーペットをやろうとしてたんですけど、結局できなかった。

Y :グラミー賞の“白いバラ”みたいに、ワンポイントでアピールっていう感じになるんじゃない?

S :授賞式には来れない人もたくさんいますよね。セクハラで騒がれたケイシー・アフレックはプレゼンター辞退を発表しましたけど、もし来てたらフランシス・マクドーマンドに渡すことになったかもしれないんですよ。

Y :オスカー像でぶん殴られますね(笑)。

Text: Mirei Hirose

  • 【座談会参加メンバー】

    猿渡由紀/LA在住映画ジャーナリスト。ハリウッドスターや映画監督のインタビュー、撮影現場レポート、コラムなどを日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿。今年のオスカー関連の個人的な推し作品は、3回鑑賞した『ゲット・アウト』。

    よしひろまさみち/映画ライター。情報誌、女性誌、ウェブサイトなどで映画レビュー、インタビュー記事を連載。日本テレビ系『スッキリ!』などで映画コーナーも担当。個人的な推し作品は、ティモシー・シャラメくんが美しすぎる『君の名前で僕を呼んで』。

    オスカーノユクエ/アカデミー賞、全米興行収入の話題を主にレポートするサイト「オスカーノユクエ」管理人。個人的な推し作品は、脚本力が見事な『スリー・ビルボード』。http://oscar-no-yukue.com/

MORE TOPICS

SHARE THIS ARTICLES

前の記事へ特集一覧へ次の記事へ

CONNECT WITH ELLE

エル・メール(無料)

メールアドレスを入力してください

ご登録ありがとうございました。

ELLE CLUB

ようこそゲストさん

ELLE CLUB

ようこそゲストさん
ログアウト