特集
2018/05/09(水)

セクハラと#MeTooはどこに向かうのか? データに見る日本でのフェミニズムの台頭

日本中で巻き起こっているセクハラ告発と#MeToo運動。これからどうなる? 世界最大の広告会社グループWPPの中核企業、ジェイ・ウォルター・トンプソンでブランド・コミュニケーション戦略をリードする大橋久美子さんがデータを使いながらその真相を解説する。

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「すべての人がフェミニストであるべき」。「ディオール」のスローガン入りTシャツを着たジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence) Photo: Aflo

「フェミニスト」とは見られたくない……を越えられるか

「フェミニズムが台頭してきていると思う」という意識は、特に若い女性の間で伸びています。では今後#MeTooに声を上げる女性たちが確実に増えてくるのでしょうか? 
 
もうひとつの壁は、戦う女性・強い女性を魅力的には思わない日本女性の特性です。前回書いたように少しずつ凛とした女性像が魅力と思われる時代にはなってきているものの、基本的には、ほんわかした包容力や上手にあしらう優しさが「女性らしい美徳」とされている価値観が強く、男性に対する対立軸を打ち出す女性に対しては、ネガティブな印象を作りがちな日本。

“JWTグローバルで実施のWomen Index調査” 日中米英印等9カ国(2018年)14カ国(2016年)/18~70歳女性各国500人/人口による年齢割付/オンライン調査

周りにフェミニストが増えてきたとは思っていても、自分ごとにはしたくない。なぜなら「みっともない」と思われてしまうから。その意識が「フェミニストであることに誇りを感じている」というスコアの低さ、さらに伸びてもいないところからみても、フェミニストと見られてしまうことへのハードルの高さが依然強いということがわかります。性的対象物としての女性に対してはNoを言いたいけれど、戦う女性として声を上げられるかどうか? それが今、日本の女性たちの大きな葛藤であると言えそうです。

Text: Kumiko Ohashi

  • 大橋久美子/J・ウォルター・トンプソン・ジャパン 戦略プランニング本部長。東京大学文学部社会学科卒、博報堂マーケティング局、研究開発局を経て、2003年J・ウォルター・トンプソン・ジャパンに入社。広告業界で25年、アジアや日本の女性たちと向き合いながら、女性たちを輝かせるためのブランディングを行う。

    ※当該記事の内容は個人的な見解であり、会社の見解を反映するものではありません

  • “JWTグローバルで実施のWomen Index調査”
    日中米英印等9カ国(2018年)14カ国(2016年)/18~70歳女性各国500人/人口による年齢割付/オンライン調査

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