セクハラと#MeTooはどこに向かうのか? データに見る日本でのフェミニズムの台頭
日本中で巻き起こっているセクハラ告発と#MeToo運動。これからどうなる? 世界最大の広告会社グループWPPの中核企業、ジェイ・ウォルター・トンプソンでブランド・コミュニケーション戦略をリードする大橋久美子さんがデータを使いながらその真相を解説する。
働く環境での“男女同権”への不満は少ない?
世界の女性たちと比較してみてみると、日本女性の職場での男女差別意識は平均的なものとなっています。「世界経済フォーラム」発表のジェンダーギャップ指数(2017年11月発表)で114位と、中国やインドよりも低い順位のわりには、そこまでそのギャップを実感していないという数値となっています(この意識は年代別に見てもあまり変わりません)。アメリカやイギリスに比べれば給与格差や女性としての限界(これは体力面の限界も含めているのではないかと思われますので純粋な男女差別に直面ということとは少し異なるかもしれません)はあると認識しているものの、職場での女性蔑視はそこまで感じていないという現状認識です。
フェミニズムというのは日本ではなかなか広がってこなかったわけですが、その要因のひとつには、このように、そもそも不満はあるのに、求める“権利”に関して意識的ではないということがあるわけです。人に平等に備わっているはずの“権利”に関して、気づいていないとも言えるでしょう。
しかし先ほど見てきましたように、「女性=性的対象」となっている現状に関して言うと、不満は明らかに存在しています。ですから、今後、終身雇用や文化の壁がありつつも、#MeTooが広がっていく可能性はあると思うのです。
Text: Kumiko Ohashi
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大橋久美子/J・ウォルター・トンプソン・ジャパン 戦略プランニング本部長。東京大学文学部社会学科卒、博報堂マーケティング局、研究開発局を経て、2003年J・ウォルター・トンプソン・ジャパンに入社。広告業界で25年、アジアや日本の女性たちと向き合いながら、女性たちを輝かせるためのブランディングを行う。
※当該記事の内容は個人的な見解であり、会社の見解を反映するものではありません
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“JWTグローバルで実施のWomen Index調査”
日中米英印等9カ国(2018年)14カ国(2016年)/18~70歳女性各国500人/人口による年齢割付/オンライン調査