ELLE MEN
2016/04/27(水)
『世界から猫が消えたなら』公開記念

佐藤健×川村元気スペシャル対談! “戦友”の二人が語る、映画『せか猫』

『告白』『悪人』『モテキ』などを手がけた映画プロデューサー川村元気の初小説で120万部を突破したベストセラー『世界から猫が消えたなら』(『せか猫』)が映画となって、このほど公開! 『エル・ジャポン』2016年6月号にも揃って登場してくれた主演の佐藤健と原作者の川村元気が語り合う、出会いと現在、そして未来まで。

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映画『世界から猫が消えたなら』のメインカット。©2016 映画『世界から猫が消えたなら』製作委員会

『せか猫』は佐藤健の勝負どころが、決定的にいい映画

――『バクマン。』で出会い、映画『せか猫』で佐藤さんを起用された理由は、何だったんでしょうか?
 
川村 『世界から猫が消えたなら』が映画になるなら、ティム・バートン監督の『ビッグ・フィッシュ』のようなリアルとファンタジーが交錯する感動作にしたいなと思っていました。あれは、死の間際にいる父親が一人息子に、おとぎ話を語る映画なんですけど、『世界から猫が消えたなら』でもリアルとファンタジーの間を接着してくれる俳優が必要でした。それでずっと悩んでいて、でも『バクマン。』を撮ってたときに「あ、ここにいるわ」って(笑)。ある種の「キャラ」が作れるファンタジックな雰囲気がありつつも、きちんと「リアルな人間」を演じることのできる俳優。海外だと若い頃のジョニー・デップがうまく担ってくれていたポジションでもあるんですが。
 
佐藤 いや、有り難いです。見ている人に違和感なく受け入れてもらえるのが一番ですから。
 
川村 例えばハリウッドでいうと、トム・クルーズとかは年を取ってもヒーローですよね。イーサン・ハントをやり続けて、完全にファンタジーの住人だと思うんです。でも、ブラッド・ピットは『マネー・ボール』あたりからシワを隠さなくなって、情けないおやじの役とかもやるようになって、老いを受け入れてる。ちょっと話は飛ぶかもしれないけど、健くんには後者になってほしいという思いがある。ちなみに、どっちにいきたいの?
 
佐藤 今はまさに、ファンタジーもリアルも、両方やりたいですね。年齢を重ねたら、たぶんどこかで、できれば意識するというよりは自然と、ブラッド・ピットみたいな方向にいきたいなとは思いますけど。
 
川村 健くんは、コミュニケーションがちゃんと取れる人でありながら、動物的な判断で自分なりの勝負どころを見つけてくるのが面白い。『バクマン。』のときも大根監督と僕のなかでは怒りのシーンだったのに、健くんがそこの芝居で泣き出したことがあって、「ここは怒りじゃなくて、悔しいシーンだったんだ」と納得させられました。そういう俳優のいい意味での裏切りが、映画は楽しい。俳優の肉体表現というか、『世界から猫が消えたなら』でも、そういう健くんが見つけてきた勝負どころが、決定的に映画をよくしているなと思いました。

  • ©2016 映画『世界から猫が消えたなら』製作委員会

    『世界から猫が消えたなら』
    原作は2012年に発表され、120万部突破の川村元気による同名のベストセラー。余命わずかの30歳郵便配達員の「僕」の前に、自分と同じ姿をした「悪魔」が現れる。大切なものを一つ消すこととひきかえに一日の命がもらえるとしたら……。佐藤健が「僕」と「悪魔」の一人二役に挑戦、共演に宮﨑あおいほか。監督に数々のCMで広告賞を受賞し長編映画デビュー作『ジャッジ!』が高い評価を受けた永井聡、音楽に小林武史、撮影に中島哲也監督作品で手腕をふるう阿藤正一、脚本に次々と傑作を生み出す岡田惠和など、日本屈指のクリエイターが作り上げた涙だけでなくセンスにも溢れた秀作。
     
    2016年5月14日(土)より、全国東宝系公開。
    http://www.sekaneko.com/

Photo : Saskia Lawaks Styling:Hidero Nakagane/ S-14(Takeru Satoh) Hair & Makeup:Nobu Fujiwara Interview & Text:Yuka Okada

  • 佐藤健/1989年生まれ。埼玉県出身。2006年デビュー。主な出演映画に『ROOKIES-卒業』(09)、『劇場版TRICK霊能力者バトルロワイヤル』(10)、『るろうに剣心』(12)、『カノジョは噓を愛しすぎてる』(13)、『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』(14)、『バクマン。』(15)、出演ドラマに『龍馬伝』(10)、『とんび』(13)、『天皇の料理番』(15)。16年は『世界から猫が消えたなら』に続き、主演作『何者』が10月15日に全国東宝系で公開予定。
     
    川村元気/1979年生まれ。横浜市出身。映画プロデューサーとして『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『バクマン。』などの映画を製作。2010年、米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、翌11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。12年に、初小説『世界から猫が消えたなら』を発表し、同作はミリオンセラーとなる。翌年、絵本『ティニー ふうせんいぬのものがたり』を発表し、同作はNHKでアニメ化され現在放送中。14年には、絵本『ムーム』を発表。同作は、Robert Kondo&Dice Tsutsumi監督によりアニメ映画化された。その他の著書として、宮崎駿・糸井重里・坂本龍一ら12人との対話集『仕事。』、2作連続の本屋大賞ノミネートを受けた小説第2作『億男』、近著として養老孟司、若田光一、川上量生、佐藤雅彦、伊藤穣一ら理系人との対話集『理系に学ぶ。』、ハリウッドの巨匠達との空想企画会議本『超企画会議』などがある。

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