情熱と人懐っこさの間に。村上虹郎のオーラの秘密に迫る
たった30秒のCMでも背後にドラマを感じずにはいられない、独特のオーラが備わっている村上虹郎。17歳のときに映画『2つ目の窓』で、主演デビューを果たしてからまだ2年。これまでの作品数はそう多くはないものの、出る作品、出る作品に着実に爪痕を残し、『ディストラクション・ベイビーズ』(5月21日公開)ではメインキャストのひとり、柳楽優弥演じる芦原泰良の弟・将太を演じている。映画がたまらなく好きで、「自分の居場所はここだ」と自ら即断した19歳。しっかり者の反面、大好きな映画の話となると目をキラキラさせて、止まらなくなる少年らしさが初々しい。
音楽がないと生きていけない!
―普段どんな音楽を聴いてますか?
音楽は大好きでめちゃめちゃ聴きますけど、ジャンルはこだわらないです。いちばん好きなバンドはザ・スリップ。ジャム・バンドで、1曲で8分くらい演奏してる。ジャズじゃないんですけど、ジャズができるぐらいの人たちなので、音が洗練されていて、全然、違う。ジャズの勉強をしてた人たちがポップをやるとまるで違って聞こえてくるから、そういうところがいいです。
―今回の音楽はの向井秀徳さんですね。
めっちゃ、かっこよかったですね。まだお会いしたことはないんですけど。世代的に意外と通ってこなかったから、あんまり、知らないんです。向井さんって椎名林檎さんと一緒にやってましたよね。周りの友人たちは椎名さんのことをすごく好きだけど、僕は椎名さんも通ってないんです。向井さんや椎名さんって、同じ世代なんだと思うんですが、当時の新しい音楽を築いた人たち=その時代のニューウェイヴだった人たちだと思う。以前のものを聞いてみたんですが、割と好きでした。語るように歌う人たちっているじゃないですか。竹原ピストルさんとか。僕にはできないけど、なんだかんだすごい影響というか、聴くと、勇気、元気をもらえます。
―役に入る前に音楽を聞いて気分を上げたりしますか。
それはします。曲はその時々の自分の好きな曲だから、あんまり、覚えてないんですけど。自分は、目より耳、視界より音から入ってくることが多い。例えば、カット数がめちゃめちゃ多くて、カメラが3台くらいあって、120カットぐらい、撮る。そういう状況で、同じ芝居、もっと言えば、泣きの芝居を同じ台詞で60回とか、求められたりする。でもそんなに泣けない時もあるんです。涙は物理的に無理でも、そもそも表情だって嘘になってきちゃうかもしれない。そんなとき、1個前のきっかけの台詞を言ってもらうだけで、効くんです。だから僕は言ってほしいし、僕も言わないといけないと思います。音は響いてくる。大事なものだと思います。
―音にすごくこだわりがあるんですね。今後、声優やナレーションの仕事もよさそうです。
やってみたいです。先日、オーディションしたんですけど、その時、監督に「君は映像だね」って言われてしまったんですが、それって技術がないってことかな。顔で芝居してんのかなぁなんて思ってしまいました(苦笑)。
―いやいや、2年ですごい進化です。
中身は全然、変わってないです。あれ? 変わったのかなぁ(笑)。
【編集後記】
胸に情熱を秘めた男の子。そんな印象を受ける村上虹郎くん。雄弁に自分の気持ちを語る姿はアツく、そしてすべてを包み隠さず吐露する正直さと人懐っこさは、現場でムードメーカーとして愛されているのも納得。母親である歌手UAに連れられて幼いころから世界中を旅したり、音楽や映像などさまざまなカルチャーに自然と触れているその環境で身についた生粋の“itボーイ”感は周囲を魅了するに充分。そのセンスをいかんなく発揮しているインスタグラムはファッション業界からの眼差しもアツく、これからもさまざまなシーンで活躍することは間違いないはず!
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『ディストラクション・ベイビーズ』
路上でいきなり見知らぬ人間に殴りかかり、喧嘩し続ける野獣のような泰良(柳楽優弥)。泰良の相棒となり凶行を加速させてしまう高校生・裕也(菅田将暉)。泰良たちの危険な遊びに巻き込まれる少女・那奈(小松菜奈)。そして、自分の前から突然、姿を消した兄・泰良を探し続ける弟の将太(村上虹郎)。愛媛・松山を舞台にした全編にむき出しの暴力が迸る衝撃ストーリー。自主映画で伝説を作った真利子哲也監督の商業映画1本目。2016年5月21日(土)、テアトル新宿ほかにて公開。http://distraction-babies.com/
Photo: Toshiki Hiraiwa Styling: Ryohei Matsuda Hair & Makeup: Go Takakusagi Interview & Text: Aki Takayama
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村上虹郎/1997年3月17日生まれ、東京都出身。14年、第67回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品 『2つ目の窓』主演で俳優デビュー。15年、スペシャルドラマ 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』でドラマ初主演。16年、東京芸術劇場『書を捨てよ街に出よう』で舞台初出演初主演。そのほかの出演作品に『神様の言うとおり』(14)、『忘れないと誓ったぼくがいた』『さようなら』(15)、TVCF「JR SKISKI」、ドラマ「天使のナイフ」(15)など。出演映画『夏美のホタル』は6月11日公開。
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