「のだめ」で何度も通ったパリは大好きな街
―先ほど、玉木さんは舞台と同時にほかの作品にも関わっているとお聞きしましたが、オンとオフの切り替えはどのようにしていますか。
玉木 スケジュール的に変えていくしかないですね。基本的に撮影が終わったら、飲みに行ったり、ご飯を食べに行ったりするので、それで割とリフレッシュできます。日々、そういうことの積み重ねで、ひとつひとつ忘れながら、新しいことに臨んでいくしかないと思っています。
千葉 僕は意外と、バラエティ番組がいちばん、引きずります……。“自分”として出ているから、「なんであんなこと、言っちゃったんだろう」「これが放送されるのか。嫌だなぁ」とか(苦笑)。役では、もっとこうしたらよかったとは思いますが、「お疲れ様でした」と言ったら、そこからはもう引きずらない。「次、こうしよう」とは思いますが、ご飯を食べに行ったりしたら、忘れはしませんが、切り替えます。
―飲みに行って、仕事の話になったりしますか?
玉木 仕事の話はあんまりしないかな。
千葉 あまり愚痴っぽいのは嫌ですね。
―おふたりは、以前から一緒に飲んだりする仲だったんですか。
玉木 タイミング的には、頻繁にというより、ちょこちょこといった感じですね。うちでバーベキューをやったときに、来てくれたりもしたよね。今回はそういう仲良くなる時間をもっと積み重ねて行きたいな。稽古の間以外でも、コミュニケーションをとることが必要だと思うから。男性キャストがちょっと少なめなので、ある意味、共感できることも多いんじゃないかな。
―家でバーベキュー……千葉さんも手伝ったりしたんですか。
千葉 あ、僕は何もしてません! 座っていただけです……。すみません(苦笑)。
玉木 いや、何かお土産を持ってきてくれていたよね。用意といっても、バーベキューなので、座って、肉を焼いているだけで、そんなに大変じゃありませんから。
―千葉さんは、料理の腕前は?
千葉 ひとり暮らしなので、まあ簡単なものはひと通りできますけど、そんなに頻繁にはやらないです。
―今回の作品、パリの社交界が舞台ですが、二人はパリにどんな思い出がありますか。
玉木 「のだめ」をやらせていただいたときに何度も行っていますし、パリコレも見に行ったことがあるし、この5月にも番組で行きました(「玉木宏 音楽サスペンス紀行 マエストロ・ヒデマロ 亡命オーケストラの謎」)。20代後半から、何かと縁のある場所なのかな。すごく好きな街ですね。冬のどんよりとした感じも好きだし、夏のみんなが活発なときもすごく楽しいなと思う。実は、食事はあんまり好きじゃないんです(苦笑)。フレンチはすごくいいですが、毎日、食べるものじゃないですよね。一ヶ月くらい、いると食べ物に困って、何を食べたらいいのか、わからなくなってくる。日本は、何も考えなくても、食べられるものがいっぱいあるけど、フランスは軽く食べられるものに困りますよね。
千葉 僕は海外経験がそんなになくて、ほぼ仕事なんですが、東南アジア以外で行ったことあるのが、唯一、パリなんです。NHKの「チョイ住み in パリ」という番組の企画で、特に観光するでもなく、2区のモントルグイユという商店街がある地域に一週間くらい住んでいました。ホテルでなくアパルトマン。フランス料理も食べず、商店街で食材を買って、家に持ち帰って自炊する。その思い出しかないんですが、人が優しかった印象は残っていますね。空港に着いて、アパルトマンに行くまで、誰もついてくれなくて、全部、自分でやるんですよ。フランスの方はフランス語で話しかけないと口もきいてくれないと思っていたんですが、全然、そんなことなくて、挨拶さえ、フランス語ですれば、後は英語でもちゃんと教えてくれました。迷いましたけどね。やっぱり、おしゃれでしたね。あれ、おしゃれだったかな(笑)。いい街でした。
―この作品は、『クルーエル・インテンションズ』『スキャンダル』といろんな形で映画化されていますが、国や時代を超えて、人々を魅了する理由はどんなところにあると思いますか。
玉木 すごく誇張された話だとは思いますが、こういう欲望などは、人間の本質として、どこか多少なりとも存在するものだと思うから、これまでもずっと面白く見られてきた作品なんでしょう。誰もが、台詞の根底に込められたものに何かしら、ピンとくるものがあるんじゃないかな。
千葉 台本を読んだり、映画を見たり、いろいろ見ているうちに、登場人物が何を考えているのかわからなくなってきて、最初はこういう立ち位置の人なのかなととらえていても、ちょっと違うようにも思えてきたりする。人物像がとらえどころのない、ふわふわしている感じが見ている人たちに想像する余地を与えて、楽しいのかなと思いますね。
玉木 千葉君の言うとおりですね。一個一個、ゴールを決める必要はなくて、「何、考えているんだろう、この人たちは」という見方でいいと思う。僕のヴァルモンに関してもそう。その結果、最後の最後の台詞で、「ああ、これが本心だったのかな」と思ってもらえればいい。この作品は、どこかお客さんに委ねるような気持ちがあるのかもしれませんね。
Movie: Maho Tomono
Photo:Tatsunari Kawazu Styling:Kentaro Ueno(for Mr.Tamaki),Hirohito Honda(for Mr.Chiba) Hair&Makeup:Yukiya Watanabe(ELLA/for Mr.Tamaki),Naoki Hirayama(for Mr.Chiba) Interview & Text: Aki Takayama
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舞台「危険な関係」
フランスの作家、ピエール・ショデルロ・デ・ラクロによる書簡体で展開される恋愛心理小説をイギリスの劇作家、クリストファー・ハンプトンが戯曲化。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身のリチャード・トワイマンが演出する。舞台は18世紀末、パリの社交界。社交界の花、メルトゥイユ侯爵夫人(鈴木京香)は恨みあるジェルクール伯爵に復讐しようと彼の婚約者、セシル・ヴォランジェ(青山美郷)の純潔を汚すよう、元愛人のヴァルモン子爵(玉木宏)に持ち掛ける。ところが、清純なセシルは若い騎士ダンスニー(千葉雄大)と恋に落ちていた。
東京公演/2017年10月8日~31日
Bunkamuraシアターコクーン
お問い合わせ tel.03-3477-3244
S席¥10,500円、A席¥8,500、コクーン席¥5,500
大阪公演/2017年11月9日~14日
森ノ宮ピロティホール
お問い合わせ tel.0570-200-888
全席=¥11,000
作:クリストファー・ハンプトン
翻訳:広田敦郎
演出:リチャード・トワイマン
美術・衣裳:ジョン・ボウサー
出演:玉木宏、鈴木京香、野々すみ花、千葉雄大、青山美郷、佐藤永典、土井ケイト、新橋耐子、高橋惠子 他
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/17_dangerous/
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PROFILE
玉木宏/1980年生まれ。愛知県出身。1998年、ドラマ『せつない』で俳優デビュー。2007年、ドラマ『氷壁』『功名が辻』『トップキャスター』『のだめカンタービレ』の4作品でエランドール賞、新人賞を受賞。連続テレビ小説『あさが来た』では、主人公の夫役を好演した。主な出演作に、TV『鹿男あをによし』『砂の器』『残念な夫。』『キャリア~掟破りの警察署長~』、映画『ただ、君を愛してる』『真夏のオリオン』『幕末高校生』『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』、舞台は2013年『ホテル マジェスティック~戦場カメラマン澤田教一 その人生と愛~』以来、4年ぶり2度目となる。公開待機作に、『悪と仮面のルール』(2018年公開予定)、『ラブ×ドック』(2018年公開予定)がある
千葉雄大/1989年生まれ。宮城県出身。2010年、『天装戦隊ゴセイジャー』で俳優デビュー。2017年、『殿、利息でござる!』で第40回日本アカデミー賞新人俳優賞、受賞。主な出演作に、ドラマ『家族ノカタチ』『家売るオンナ』『しあわせの記憶』『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』『ソースさんの恋』など。10月2日から連続テレビ小説『わろてんか』、10月よりフジテレビのドラマ『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』 に出演。
映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』『モヒカン故郷に帰る』『暗黒女子』『ReLIFE リライフ』『帝一の國』『兄に愛されすぎて困ってます』公開待機作に、『亜人』(9月30日公開予定)舞台は2011年『タンブリング』、2012年『ラヴ・レターズ』以来となる。 -
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