ゴールデングローブ賞の結果で占う! 第90回アカデミー賞大胆予想
2018/01/16(火)
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『レディ・バード』

 カリフォルニア州のサクラメントが舞台。主人公は、閉塞感ある片田舎の町でくずぶっている17歳のカトリック系女子高校生。高校最後の年に、家族や友人、そしてボーイフレンドについて悩む姿がユーモアたっぷりに描かれてゆく。

 本作はゴールデングローブ賞のコメディ/ミュージカル部門の作品賞・主演女優賞を受賞。主演のシアーシャ・ローナンは本作の演技で、既にNY批評家協会賞やシカゴ批評家協会賞などの主演女優賞を受賞している。今年23歳の彼女は、これまでも『つぐない』(07)や『ブルックリン』(15)でアカデミー賞の助演女優賞や主演女優賞の候補となっているなど、若くしてアカデミー賞に愛でられている存在。

 また主人公の母親を演じたローリー・メトカーフは、本作の演技によって現時点で14の助演女優賞を獲得。アメリカ国内のほとんどの映画賞で助演女優賞を総なめにしているため、アカデミー賞の最有力候補として注目したい。

 もうひとり、『君の名前で僕を呼んで』で主人公を演じているティモシー・シャラメが、『レディ・バード』の共演者のひとりである点も注目ポイント。彼はこの映画との合わせ技で、評価が更に高まる可能性を秘めている。

 タイトルの“レディ・バード”は、主人公のニックネーム。脚本を執筆したグレタ・ガーウィグは、『フランシス・ハ』(12)で主演・脚本を兼任した才人。これまで女優として活躍してきたが、本作では監督・脚本として作品に参加している点も注目ポイント。

 アカデミー賞の脚本賞(映画オリジナルの脚本に対して)や脚色賞(原作などがある脚本に対して)では、これまでも『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)のマット・デイモンとベン・アフレック(ふたりで受賞)や『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』(01)のオーウェン・ウィルソン(候補)など、俳優が書いた脚本を評価してきたという歴史がある。そういう意味で、グレタ・ガーウィグの書いた脚本は、今回のアカデミー脚本賞に一番近い作品のひとつであると言える。

【2018年6月公開】

text: Takeo Matsuzaki photo: AFLO, GETTY IMAGES

  • 松崎健夫(まつざき・たけお)
    映画評論家。『キネマ旬報』などに寄稿し、『WOWOWぷらすと』『ZIP!』『japanぐる〜ヴ』に出演中。共著『現代映画用語事典』ほか。

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