ゴールデングローブ賞の結果で占う! 第90回アカデミー賞大胆予想
2018/01/16(火)
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『シェイプ・オブ・ウォーター』

1962年、東西冷戦下のアメリカが舞台。政府の極秘研究所に清掃員として勤務する主人公の女性は、子供の頃のトラウマで声が出せなくなっていた。日々、孤独な生活を送っている彼女は、研究所へ極秘に運ばれてきた不思議な生物と遭遇。“彼”の魅惑的な姿に心を奪われた彼女は、やがて“彼”に対して愛情を抱くようになる。

 本作はヴェネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞を受賞。ゴールデングローブ賞のドラマ部門で監督賞を受賞した。

 栄冠を手にした監督は、『パシフィック・リム』(13)のギレルモ・デル・トロ。彼が子供の頃に観て熱狂したというモンスター映画『大アマゾンの半魚人』(54)を、自らのオリジナル作品として、どのような解釈で変容させているのか?という点も注目ポイント。『シェイプ・オブ・ウォーター』=「水の形」というタイトルが示すように、「形が無い」ことは、この映画が描く特異な<愛の形>のことでもある。

 言葉を発せない主人公を演じたサリー・ホーキンスは、『ハッピー・ゴー・ラッキー』(08)の演技でベルリン国際映画祭の銀熊賞に輝いて注目を浴びた。ケイト・ブランシェットの妹役を演じた『ブルージャスミン』(13)では、アカデミー助演女優賞候補となっている。『シェイプ・オブ・ウォーター』で演じているのは、台詞に頼らずにヒロイン像を体現してみせなければならないという難役。かつて『愛は静けさの中に』(86)のマーリー・マトリンが、(自身が実際に聾唖者であることから)台詞に頼る事ない演技でアカデミー主演女優賞を史上最年少で受賞したという歴史がある。そういう意味で、言葉を発せない者同士である本作の“ふたり”が織りなす演技は、アカデミー賞でも評価されるに違いない。

【2018年3月1日公開】

text: Takeo Matsuzaki photo: AFLO, GETTY IMAGES

  • 松崎健夫(まつざき・たけお)
    映画評論家。『キネマ旬報』などに寄稿し、『WOWOWぷらすと』『ZIP!』『japanぐる〜ヴ』に出演中。共著『現代映画用語事典』ほか。

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