特集 2017/1/11(水)
トレンドインサイト Part.1

肉ブームが生んだ、新スタイルの精肉店

今、新タイプの精肉店が次々と誕生し、話題となっている。環境に配慮したり、インターネットを活用したり、レストランを併設したり……。食と人を結びつけるその新しい試みとは?

ここ数年の空前の肉ブームは、日本だけのものではない。パリやニューヨークでも、丁寧に手塩にかけて育てた少量生産で高品質な肉に注目が集まり、肉ビストロは大賑わい。そのなかで、従来の精肉店から一歩先を行く、新スタイルの店も登場し、熱い視線を集めている。

パリの精肉店が提案する環境との共存
畜産は環境破壊の原因と国連から警告されるなど、肉食への疑問が呈されているなか、ひとつの答えといえるのが、“エシカル”(論理的消費)。パリの精肉店「ヴィアンド&シェフ」オーナーのバンジャマン・ダルノーは、1頭の半身を購入し、売り切ったら次の半身を購入する。もし客がバベットを求めたときに売り切れだったら、それに代わる部位を薦め、料理法もアドバイス。1週間で半身が売切れるペースで、無駄なく新鮮さをキープする。「肉には多彩な部位があることや、質のいいものを少しだけ食べることを啓蒙したい。明日のためにできることをしたいんだ」。小屋に閉じ込めず、2ヘクタールあたり1頭という広大な野外で育てるなど飼育方法にも気を配る。また肉の処理は客の目の前で行い、食の情報公開にも積極的。産地、畜産業者のポリシー、さらに料理法など、十分に説明を行ってくれるのは消費者にとってはうれしい計らいだ。

実はバンジャマンは、名店「ミシェル・ブラス」なそのレストランで修業を積み、テレビ番組「トップシェフ」「テイスト・ハンター」に出演していた料理人。「僕は15年間、厳しい修行をして肉の焼き加減を学んだ。お客様にその技術を伝授したい」とバンジャマン。料理人だけに、精肉が並ぶウインドウの半分には惣菜が並ぶ。ワインや野菜やオイルなどの食材も充実だ。グルメでエシカルなこの精肉店は、意識の高いBOBO(ブルジョワ・ボヘミアン)層から瞬く間に熱い支持を得るにいたっている。

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photo : Julie Ansiau , Omi Tanaka text : Kaoruko Yasuda , Azumi Hasegawa

  • Viande & Chef(ヴィアンド&シェフ)
    38 Rue de Lancry, 75010 Paris
    tel. +33(0)9 81 87 01 30
    営業時間/10:00~14:00、16:00~20:00
    定休日/日・月曜
     
    Pièce du boucher(ピエス・デュ・ブシェ)
    6 Rue du Moulinet, 75013 Paris
    tel. +33(0)1 70 81 46 26
    営業時間/9:00~14:00、16:00~20:00
    定休日/日・月曜
     
    The Meat Hook(ザ・ミート・フック)
    397 Graham Ave, Brooklyn, NY 11211
    tel. +1 718 349 5032
    営業時間/10:00~20:00 日曜11:00~19:00 無休
    http://the-meathook.com/

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