「男の裸を買う、これぞ男女の逆転!」
『マジック・マイク』
これはちょっとダメな男たちがストリッパーになって人生一発逆転っていう話なので、華やかなセレブというよりは裏ぶれた貧乏な男たちの話なんですけれども。出てくる男たちは非常にハングリーな感じでかっこいいし、男性ストリッパーたちの鍛え上げられた肉体が見られるってことで、あまり難しく考えずに女性に楽しんでほしい映画ですね。
主演のチャニング・テイタムが売れないころにストリップをやっていた自伝的な話をベースにしているので、ストリップ業界の裏事情がわかるし、ソダーバーグ監督なので文句なしに面白い。男同士の裏切りとか憧れの話なんだけど、実は「2人の関係って(本人たちは気づいてないけど)恋愛だろう」っていう、BL的な部分もある。男同士の絡みは全然ないんですけどね(笑)。
男性ストリップの世界って、欲求不満な女性たちに裸を見せてお金をもらうわけじゃないですか。AVもそうなんだけれど、お金をもらう以上、相手はお客さんなわけです。今までは女性がやっていたことをこの映画では男性がやっている。これまで女性は“性を買う”ことはあまりなかったし、仕事をしてる女性ってみんなきれいにしてますよね。働きながらも女を捨てちゃいけないって、大変だと思うんですよ。それは専業主婦もAV女優も同じ。男の裸にお金を払って合法的に楽しんで、それで家に帰って平和を保てるなら、下手に不倫なんかするよりずっと健康的ですよ。日本にはホストっていうのもあるけど、あれは心が入って恋愛になっちゃう。恋をしてると思わせて金をまき上げるっていう、どぎつい世界だからね。男性ストリップは日本ではまだまだだけど、すごくいいと思うんです。エル・オンライン読者の方々は意識がとても高いと思うので、きれいな男の裸にどんどんお金を払ってもらいたい(笑)。
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『マジック・マイク』
監督/スティーヴン・ソダーバーグ
出演/チャニング・テイタム、アレックス・ペティファー、マット・ボマー、マシュー・マコノヒー
配給/カルチュア・パブリッシャーズ、ブロードメディア・スタジオ
公式サイト/http://magic-mike.jp/
全国順次公開中
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二村ヒトシ/アダルトビデオ監督。1964年・六本木生まれ。慶應大学文学部中退。1997年にAV監督デビュー。痴女もの、レズビアンものを中心に独創的な演出のアダルトビデオ作品を数多く手掛けるかたわら、「すべてはモテるためである」(イースト・プレス)、「恋とセックスで幸せになる秘密」(イースト・プレス)などの著書で、恋愛やモテについて鋭く分析。女性とセックスを知り尽くした見識に定評がある。
http://nimurahitoshi.net/