死の3週間前、共に旅した男が語る「ダイアナ元妃の素顔」
2017/08/29(火)
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相手の心の奥へ入っていくダイアナの包容力

――ボスニア・ヘルツェゴビナでの3日間はどのように過ごしたのですか?
 
ダイアナ妃はあらゆる年齢の、あらゆるバックグラウンドの被害者たちと会った。会議もスピーチもディナーもなし。犠牲者やその家族と直接話して、どのようにすれば彼らの助けになれるかを、自ら学んでいるようだった。小さなミニバンに乗って朝から晩まで訪問を続けるのは、肉体だけでなく精神的にもきついことだったけれど、決して疲れた顔を見せなかった。むしろ他者の痛みを吸い込み、温かく肩を抱き『私は決してあなたを忘れません』とささやきながら、彼らにパワーを与えていたんだと思う。
 
ロンドンに帰ってもこの活動を続けると熱く語っていたけれど、3週間後にあの悲劇が起こって、彼女は帰らぬ人となってしまう。でも、僕たちの活動がノーベル平和賞を'97年に受賞したのは、ダイアナ妃のおかげだと思う。なにせあの夏、この“巡礼の旅”はすべての新聞のトップニュースになったんだから。結果的にダイアナは自らのゴールを達成したんだ。

――現地でのダイアナ妃はどんな感じでしたか?
 
彼女は語るより、じっと話に耳を傾けた。恐ろしいほど直感的で、傷ついた人々への対応は的確だった。大きなブルーの目をクリスタルのレーザーのように相手に集中させ、全身全霊で話を聞くんだ――「あなたの話を聞かせてください。あなたに何が起こったのですか?」。脚の断面や、目をおおいたくなる傷跡にも決してひるまず、会話をしながら、ある一点から相手の心の奥に入っていくんだ。それに、いつも冗談を言って場の空気を和らげていたよ。

Photos: Landmine Survivors Network

  • PROFILE
    ジェリー・ホワイト/1963年ボストン生まれ。大学2年生の夏休み、イスラエルで山歩きをしていて地雷が爆破、右膝から下を失う。「地雷サバイバーネットワーク」を仲間とともに立ち上げ、1997年にノーベル平和賞を共同受賞。オバマ政権下で紛争安定のために尽力し、2015年困難な政策決定をサポートするテクノロジー企業giStratを創設。

  • NEWS!
    ダイアナの指南役となり、現在でも地雷撲滅をはじめさまざまなムーブメントをつくり出すジェリー・ホワイトが9月4日東京で講演を行います。この「Dialogue with Jerry White」にエル・オンライン読者を先着3名ご招待!  詳しくはコチラのサイトより「エル・オンラインを見て」と明記してご応募ください。→http://japan.ashoka.org/
     
    日時:9月4日(月)19:00~21:00
    場所:GRIPS政策研究大学院大学 想海樓ホール
    東京都港区六本木 7-22-1
    料金:一般¥2,000/学生¥1,000

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