80歳まで働く時代が到来!? 世界的ベストセラー著者が語る未来のライフプラン
2017/05/10(水)
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100歳まで走り抜くためのマルチステージの働き方

かつて人生は、「学習」「勤労」「老後」という3ステージで構成されていた。ところが、寿命の延びと年金制度の崩壊により、「60歳定年」では経済的にやっていけない時代に突入。80歳まで働くか、あるいは65歳で定年を迎えるためには毎年収入の17・2パーセントを貯蓄しなくてはならないと試算される。
 
長くなる人生を豊かに楽しむための処方箋が「マルチステージ」だ。学校を卒業後も、「エクスプローラー」(旅やさまざまな試みにより、自分のやりたいことを探求する)、「インディペンデント・プロデューサー」(自分らしい仕事を作り出す)、「ポートフォリオ」(複数の活動を組み合わせる)といった新しいステージを渡り歩くことが求められる。
 
また、お金や不動産などの有形財産だけではなく、創造性や生産性、それに友情や愛といった「無形財産」の重要性が増す。その構築には、学生時代だけではなく人生全般にわたって新しいスキルを身につけるための再投資を行い、単なる娯楽(レクリエーション)ではなく、仕事に結び付くスキルや健康、人間関係を高めるための再創造(リクリエーション)を行わなくてはならない。
  
さらに女性の場合、寿命が延びても出産年齢には限界があるが、マルチステージジの人生ならさまざまな選択肢が可能。たとえば人生の早い段階で出産し、キャリアは子育てが一段落してから構築してもいい。あるいはあえてシングルマザーになることを選び、自分の両親やまだまだ元気な祖父母の助けを借りて育児をしながらキャリアを構築し、60代で結婚することだってできる。
 
「80歳を超えても働かなくてはいけない」と言われて衝撃を感じる人は多いだろう。先生がふだん教えている学生たちの多くも、「働くことが想像できるのは70歳まで」と言うそうだ。「その理由はシンプルで、80代で現役というロールモデルがいないから。私自身、大好きな母もお手本にはなりません。医学の進歩により、未来の80代というのは、祖母の世代の40代を想像するとちょうどいいのです」
 
本のサイト「www.100yearlife.com」では、そんな時代に生きる準備ができているかを自己診断できるコーナーがあり、学生たちにも勧めている。とくに重要なのが「無形資産」の診断。「うちの学生はMBA取得を目指しているので生産性については充分に準備しています。健康についても、食事やエクササイズの面で気を配っている学生が多数派。一方で友人関係の大切さには初めて気づく学生が多いようです。」

Photo: FREDERIC ARANDA Text: REINA SHIMIZU Illustration: ITSUKI WAKABAYASHI/ HAKONIWA

  • リンダ・グラットン(Lynda Gratton)
    ロンドン・ビジネススクール教授。リバプール大学で心理学の博士号を取得。ブリティッシュ・エアウェイズの専属心理学者、PAコンサルティンググループ部長を経て現職。組織改革のリサーチ・コンサルティングを行うホットスポッツムーヴメント社の創設者。人材論・組織論の世界的権威。新時代の仕事についての新著を執筆中。

  • 『ライフ・シフト100年時代の人生戦略』
    リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著東洋経済新報社刊 ¥1,800
    寿命100歳という時代に、私たちは働き方、生き方をどう変えていくべきか?  遠くない未来のお金や時間の使い方、人間関係までわかりやすく解説。

  • エル・ジャポン6月号
    アレキサンダー ワンとのコラボが実現。付録は、オリジナルデザインのピルケース&ポーチの豪華2点セット! お仕事特集の6月号は未来を変える働き方をテーマに、最先端のIT企業のオフィスから、世界的権威が語る未来のキャリア、すでに始まっている多様な制度など、未来の働き方を徹底予測。クローゼットをポジティブにアップデートさせるべく、エル流のお仕事ファッションもご提案! 5都市発・秋冬コレクションも最前線でお届け。フェスやナイトアウトにおすすめな夏のインパクトメイクも見逃せない!

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