食通たちを魅了するダニエル・デルプシュにインタビュー!
1988年、女性として、初めてフランス大統領の専属料理人に指名されたダニエル・デルプシュ。彼女の人生を大きく変えた運命のときから25年。その半生を描いた映画『大統領の料理人』が公開される。来日したダニエルに、映画の裏側、そして自身の料理人人生について聞いた。
「ダニエルさんの家庭料理」
―ダニエルさんは、大統領、南極観測隊員をはじめ、実にいろいろな方にお料理を作ってきましたね。
「誰に料理をするのも変わりません。私が作っているのは、“洗練された家庭料理”と呼ばれるものです。年齢、社会階層関係なく、誰が食べても嬉しく美味しい料理。昔から家庭料理はみんなの憧れですが、そこにちょっと手をかけたものです。こういった味が、子供時代を喚起させ、人に元気を与えるのでしょう。どんな料理にも存在意義があると思いますが、私はこの料理が好きなんです。というか、それしかできないけれど(笑)。料理を通して人と人は近づけると信じて作っているんです」
―実際に、料理を通して人と通じ合えたという経験はありますか?
「300回ぐらいありますよ! 感動してもらって、もっと人と近づきたい。人間関係を繋げる最初のきっかけが、料理を食べてもらうことだと思っているんです。私の長男は初デートの際、鶏のファルシを料理するんです。これぞ料理が持つシェアの精神の現れですね。彼が“新しい恋人ができた”と言うことはありません。“鶏とシャンピニオンを買ってきた”と言うだけで、私たちはピンと来るんです(笑)」
―ダニエルさんのお料理はどこでいただけるのでしょう?
「私はいわゆるレストランの料理人ではないんです。でも、個人的に雇っていただければ、料理を作りに行きますよ!」
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『大統領の料理人』
<STORY>
取材のため、南極基地を訪れたオーストラリアのTVクルーは、現地で一人のフランス女性に遭遇する。彼女の名はオルタンス。男所帯の観測基地で、隊員たちのために料理を作る女性料理人だった。彼女は何者で、いったいなぜここにいるのか。隊員たちに慕われるオルタンスに興味を抱いたクルーが彼女の素顔に迫っていくと、やがてその驚くべき過去が明らかになっていく。実は彼女はミッテラン大統領の元専属料理人としてエリゼ宮で働いたという異色の経歴の持ち主だったのだ。オルタンスが覗いた大統領の素顔とは。そしてエリゼ宮の裏側とは。
監督/リクリスチャン・ヴァンサン
出演/カトリーヌ・フロ、ジャン・ドルメッソン、イポリット・ジラルド
配給/ギャガ
公式サイト/http://www.daitouryo-chef.gaga.ne.jp
2013年9月7日(土)シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマほかにて全国順次公開
Les Saveurs du Palais © 2012 –Armoda Films- Vendome Production – Wild Bunch – France 2 Cinema
Text JUNE MAKIGUCHI