『アデルの恋の物語』
20代の頃観て、あまりにも重く、数日間ダウナーになった作品。
ヴィクトル・ユゴーの次女アデルが、ある晩餐会で出会ったイケメン将校、ピンソン中尉に好意を抱きます。ピンソンもアデルに求婚しますが父ユゴーに反対され、移り気なピンソンは他の女性と遊ぶように。
でもアデルはあきらめきれず、家にピンソンの祭壇を作ったり、男装までしてピンソンにつきまとったりします。追っかけ行為で無一文になったアデル。もとは美女なのに、頭がボサボサで中空を見つめ、汚れたドレスで徘徊するように……。もう相手の姿も視界に入りません。
恋愛は媚薬でもあるし、病気でもあると恐ろしさを痛感しました。
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〈作品紹介〉
『アデルの恋の物語』
アデル(イザベル・アジャーニ)は英国軍人ピンソンに恋をする。彼は結婚を申し込むが、アデルの父に断られ引き下がる。しかしアデルはあきらめきれず別の名を名乗り彼を追いかけ、ついにはフランスから北米にまで渡る。しかし、すでにピンソンの心は彼女にはなく……。文豪ヴィクトル・ユーゴーの次女の実話を基にした一途な愛の物語。“たったひとつの愛”を求めることで、ひとりの女性が崩壊していく様を描く、ヌーヴェル・ヴァーグの巨匠フランソワ・トリュフォー監督作品。
出演/イザベル・アジャーニ、ブルース・ロビンソンほか
監督/フランソワ・トリュフォー『突然炎のごとく』『大人は判ってくれない』『映画に愛をこめて アメリカの夜』
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辛酸なめ子/東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。漫画家、コラムニストとして活動。近著に『諸行無常のワイドショー』(ぶんか社)、『次元上昇日記』(幻冬舎plus)など。
text : Nameko Shinsan