インタビュー 2017/4/14(金)

今世界でいちばんおしゃれな芸術家! ポップアートの巨星、マウリッツィオ・カテランにロングインタビュー

『トイレットペーパー・マガジン』の創立メンバーにして、現代アート界で今もっとも注目されている人物のひとり、マウリッツィオ・カテラン。『エル・ジャポン』5月号でコラボレートした際に収録したインタビューを全公開。滅多に応じない超貴重なロングインタビューは必読!

Photo : Aflo

Q.あなたがどんな幼少期を過ごしたのか、自己紹介していただけますか?
 
こんな僕の過去を知りたいなんて……心の準備はできているかな?(笑) 実は小さい頃の思い出は、本当にうっすらとしか覚えていないんだ。ただ、人生の中でも一番悲惨な時期だったよ。僕は1960年9月21日にイタリアのパドヴァで生まれたんだ。家は貧しかったけれど、必要なものは全て整っていたよ。うちは敬けんなカトリックの家庭で、アートとはまったく縁のない環境で育った。学校を好きだと思ったことは一度もないし、自分にとっては、学校自体がトラブルの源みたいなものだったんだよ。12歳の時には落第もしたし、その後も高校を中退し、夜間学校に通ったこともあった。

Photo : Zeno Zotti. Courtesy of Maurizio Cattelan's Archive

Q.有名なアーティストになるためにどんな勉強をしましたか? また、何がきっかけでアーティストになりましたか?
 
今考えると、当時の教育システムは自分に何もポジティブな影響を与えてくれなかったと思う。唯一学んだことは、そんな環境のなかでも生き抜かなければいけないということくらいだ。だから学校が自分をアーティストにしたわけでもなければ、親の影響でもないんだ。なにしろうちには、アート関係の本なんて一冊もなかったからね(笑)。当時、唯一興味があったのは映画だけで、映画を見るためなら何でもした。映画のチケットがもらえると聞いて、10歳まで教会でボランティアをしていたくらいだ。その後は洗濯屋や清掃員、警備員、看護師や納棺士としても働いていたが、誰かの元で働くことが嫌になって、自分が好きなことをして生きるための時間が欲しいと思うようになったんだ。それで仕事を辞めて、晴れて自由の身になった。今考えても、あの日は人生で一番幸せを感じた日だったよ。その頃、近所に自分のアトリエを構えている人がいて、徐々にその人から学んで自分で家具を作り始めたんだ。こうして少しずつアートの世界に足を踏み入れていったんだ。

  • ELLE JAPON (エル・ジャポン) 2017年 05月号 アートBAG付き特別版
     
    通常版に『トイレットペーパー・マガジン』撮り下ろしのアートフォトのページを8P追加した特別版。もちろん表紙もマウリッツィオ・カテランとピエルパオロ・フェラーリのコンビが『エル・ジャポン』のためだけに創ったアートフォト。

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  • 世界でここだけ! 付録は無料チケットになる「TOILETPAPER」の限定トートバッグ
     
    オリジナルのプロダクトだけでなく、「メゾン キツネ」や「MSGM」など気鋭のハイストリートブランドとコラボレーションし、数多くのファッションアイテムを発売してきた「トイレットぺーパー」。今回『エル・ジャポン』のために特別にトートバッグをデザイン。このデザインのバッグが手に入るのは世界でここだけとあって現在SNSで話題の的! しかも、このバッグをもっていればKYOTOGRAPHIEで彼らの展示物のひとつ「LOVE ROOM」に無料で入場可能! お見逃しなく。

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Interview & Text : Wakapedia

  • 【プロフィール】
    マウリッツィオ・カッテラン(Maurizio Cattelan)1960年バドヴァ生まれ。皮肉でスキャンダラスな作品によりNYのアート界で頭角を表す。現在、ジェフ・クーンズやダミアン・ハーストと並び称される伊現代芸術の先駆者。

     
    【活動歴】
    1989年アーティストとして本格的な活動を始める。その後フランスのポンピドゥー美術館、ニューヨーク近代美術館などで作品発表
    1996年リスの自殺「Bidibidobidiboo」を発表
    1997年競走馬を天井から吊るした「Novecento」発表
    1999年隕石が衝突したヨハネ=パウロ2世の蝋人形「La Nona Ora」を発表
    2000年グッゲンハイム・ヒューゴ・ボス賞のファイナリストに選出。
    2001年にアドルフ・ヒトラーをかたどった「Him」を発表
    2004年独アーノルド・ボーデ賞受賞
    2004年馬を天井から吊るした「The Ballad of Trotsky」(1996)がLVMH会長ベルナール・アルノーにより210万ドルで購入される
    2010年ミラノ証券取引所前(Borsa di commercio di Milano)にて中指を立てた手の彫刻「L.O.V.E.,」を発表。タイトルはliberta(自由)、odio(憎しみ)、vendetta(復讐)とeternita(永遠)の頭字語をとった。
    2010年サザビーズにて「無題」が790万ドルで落札される
    2010年ニューヨークのグッゲンハイム美術館にて回顧展「ALL」開催。美術館史上初、128すべての作品を天井から吊るし、1日4000人以上の来場を記録する。CBSにて特集番組放送。
    2012年『トイレットペーパー』がニューヨークタイムス誌が選ぶトップ10の雑誌に選出
    2013年パリ、パレ・ド・トーキョーがエントランスにて『トイレットペーパー』の作品を特集
    2016年フランスのモネドパリ(フランス国営造幣局)で個展を開催。
    2016年「Him」がクリスティーズで約17,200,000ドルで落札される。
    2016年グッゲンハイム美術館で全て18金で作製された「アメリカ」という名の黄金のトイレを披露し、実際に観客が利用することができるなど、インパクトのあるコンセプトで大きな反響を呼んだ。
    2016年BBCにてドキュメンタリー「The Art World's Prankster: Maurizio Cattelan」放送

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