インタビュー 2015/1/27(火)
AN ACTIVIST IS BORN

エマ・ワトソン、しなやかな“活動家”の誕生

強烈な知性、熱意、そして軽やかさ。エマ・ワトソンはみずみずしいフェミニズム運動のニューフェイスだ。ニューヨークの国連本部で歴史的なスピーチを行った彼女を、UK版エルの編集長、ロレイン・キャンディが追った。スピーチまでの葛藤を、自身の人生を交えながら率直に語った貴重なインタビューをお届けする。

THE EPIC SPEECH  WHAT'S HeForShe?世界を動かした国連でのスピーチを抄訳

(前略)私は6 ヵ月前、国連ウィメン親善大使に任命され、フェミニズムについて話すことが多くなりました。話せば話すほど、女性の権利のための闘いが、男性嫌悪と同義語になってしまっていることに気づいたのです。私に確実に言えることがあるとするならば、こんなことは終わらせなければいけない、ということです。

申し添えておきますが、“フェミニズム”という言葉の定義は「男性と女性は同等の権利と機会を有するべき、という信念。性別による政治的、経済的、社会的平等についての定義」となっています。(中略)両親は、私が
娘だからといって愛情を削ぐようなことはしませんでした。学校は、私が女の子だからといって活動を制限しませんでした。指導してくれた人たちも、私がいつか子どもを産むからといって、見切りをつけたりはしませんでした。このような人たちは、いまの私を形づ
くってくれた男女平等の使者なのです。彼らは気づいていないかもしれませんが、彼らこそがこの世界を動かす「無意識のフェミニスト」です。こういった人がもっと必要です。

(中略)1997 年に、ヒラリー・クリントン氏は女性の権利についての有名なスピーチを行いました。悲しいことに、彼女がそのときに変えたいと考えていたことの多くは、いまもまだそのままの状態です。ただ、私がもっとも気になったのは、そのときの男性の聴衆が3 割以下だったことです。ふたつの性のうちの片方の人間がそういう場に招かれたり、会話に心地よく参加するだけで、どうやってこの世界を変えることができるでしょうか。

男性のみなさん、この場をお借りして、みなさんを正式にご招待したいと思います。男女の平等は、あなたたちの課題でもあるのです。(中略)いまこそ、ふたつの対立する理想像ということではなく、ジェンダーを広い視点でとらえるときなのです。(中略)

自分が目にしてきたことを、この与えられた機会に発言することが自分の使命だと考えています。(中略)このスピーチでの私の不安、そして自分への疑いに対し、自分に強くこう言い聞かせました。「私でなければ、誰が? いまでなければ、いつ?」。もしみなさんが似たような疑念をもつ場面に立たされたときには、この言葉が助けになることと思います。もし何もしなければ、男女平等の達成には75 年の歳月がかかり、女性が男性と同じ仕事で同じ報酬を得るようになる頃には、私は100 歳になってしまいます。(中略)もしみなさんが平等を信じるのであれば、みなさんは私が先ほど話した「無意識のフェミニスト」のひとりです。そのことに、私は拍手を送ります。(中略)私はみなさんを、声を上げるために一歩前にお誘いします。そして自分自身に問いかけてみてください。「私でなければ、誰が? いまでなければ、いつ?」

どうもありがとうございました。

  • 今年7月、ヌクカ事務局長により国連ウィメン親善大使に任命されたエマ・ワトソン。国連事務総長の潘基文ら(左)が見守るなか、ときに声を震わせ、ときに感情を込めながら、懸命に自身の言葉で男女平等について訴えた。

    Photo : Aflo

    ★国連初の男女平等のためのキャンペーン

    女性の権利と完全な男女平等を支援する世界規模の男女連帯運動を促進するために行われたこのイベントをきっかけに、12 ヵ月の間に10 億人の男性たちを動かし、ジェンダー平等への変化の主体となってもらうことをキャンペーンの主旨としている。「2030 年までにジェンダー不平等を終わらせようとしています。男女平等達成のために、男性たちに変化の主体として参加してもらうことが目的なのです」と事務局長は語っている。

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Photo KERRY HALLIHAN Styling ANNE-MARIE CURTIS Text LORRAINE CANDY

  • EMMA WATSON エマ・ワトソン
    1990年、フランス・パリ生まれ。両親の離婚とともにイギリスに帰国し、オックスフォードとロンドンを行き来して育つ。10歳で『ハリー・ポッター』シリーズのハーマイオニー役に抜擢。狂騒ともいえる人気の陰で学業に励み、今年の5月にブラウン大学を卒業した。

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