インタビュー
2016/04/06(水)
本年アカデミー賞主演女優賞受賞

ハリウッドの新スターが初来日! 今もっとも輝く女優、ブリー・ラーソン

7年もの間、監禁されていた女性とその息子が脱出を図り、失われた時間を取り戻そうとする衝撃のヒューマンドラマ『ルーム』。本作で、文句なしのアカデミー賞主演女優賞を獲得したのがブリー・ラーソン。圧倒的な存在感と演技力でハリウッドを沸かせた話題のニュースターだ。生で見ると、受賞女優のオーラも眩く、映画とはまるで別人! 8か月もかけた役作りから、最新のショッピングまで、オスカー女優の意外な素顔を直撃した。

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3カ月間太陽を浴びずに臨んだハードな役作り

―それにしても、受賞して当然の演技でした。想像もできないような役柄ですが、どうやって、アプローチしていったんですか。

準備に8か月間、かけたわ。その期間は性的に虐待を受けた人たちへのリサーチもたくさん、行なったり、3か月の間は太陽を避けて暮らして、かなりハードなダイエットもして、体を細めにするなど、とにかく自分の持てるすべてのものを捧げて、ママ/ジョイになりきろうと必死で。作品は日常生活で共感できるようなことは一つもないので、あの8か月に1日でも欠けても、ダメだったと思う。一方で、とても異質な状況に置かれた母と息子を描いてはいるけれど、その感情はとても普遍的なもの。そこを忘れてもいけないわ。だから、私自身も、部屋に監禁されている母子の話というより、「どんな過酷な状況にあっても、人生は乗り越えていかなくちゃならないんだ」という意識を強く持った女性として、演じていたような気がするの。

―3か月、太陽を避けて暮らしてたなんて、驚きです。

そうなの。しかもカリフォルニアでは、すごく大変なことなのよ(笑)。大きな帽子にアディダスの上下長袖、長パンのジャージは欠かせなかったわ。もちろん、その下は日焼け止めもして完全防備。泳ぐことが大好きなので、その時も帽子とジャージを着て、それで泳いでいたのよ!

―友だちもびっくりですね(笑)。

8か月の間はダイエットもしていたので、友だちとは一緒にご飯も食べられなかったし、一緒になったとしても、こっちはトマトとプロテインシェイクだけで過ごさなくちゃいけなくて。「次はどんな映画撮ってるの?」って聞かれて、「監禁されてる女性の話よ」って答えたら、「その話は食事中にはちょっと……」みたいな感じになっちゃったこともあったわね(笑)。でも、映画ってそういうものだと思う。ひとつの作品ができあがるまで、部外者にペラペラ話すものではないし、ましてや話しても誰にも理解されない。映画が出来上がって公開されるまで、1年くらい、それが続く。友だちでさえ、1年後にやっと観て、「ああ、だから、ブリーはあんなことしてたのか」って、気づくの。だからこそ、携わってる人たちにとってはその閉ざされた感じが絆になり、一丸となって頑張っていけるのだと思うわ。

―当時のあなたの努力が多くの人の目に触れることになって、本当によかったです。演技はもちろんですが、あなたの存在が子役のジェイコブ・トレンブレイの名演を引き出したことも評価されています。

お互いに助け合ったわ。私には大人として持っているスキルがあり、彼の子どもだからこそある遊び心が私の刺激にもなった。私は物語の内容を知っているので、ついあの親子が匿われている様子をかわいそうに思ってしまうけれど、ジェイクは子供の視点で物語を見ているから、面白がっていて、それが私を幸せにしてくれたのよ。

―どうやって、信頼関係を築いていったんですか。

同じマンションに住んで、現場までの時間はいつも一緒に車で出かけて、その間はお互いの将来の夢ややりたいことなどを話していたの。セットでは3週間かけて、リハーサルをしました。現場には、たくさんのゴミがあって、二人でそれを利用して、工作したものが映画のなかで使われているのよ。部屋に飾られている船やチェス盤……あれは私たちが一緒に作ったものなの。あの部屋で、二人で描いた画を壁に飾ったりもした。時々、監督が二人きりにしてくれたので、セットのなかで、完全に私とジェイクだけで過ごしていたの。まさにあの部屋が私たちの居場所だったのよ。

  • 「ルーム」
    小さな部屋で暮らすママとジャック。だが、ジャックの5歳の誕生日にママは脱出を決意する。10代で監禁された彼女にとっては7年ぶり、ジャックには初めての外の世界だった。母の言葉だけを信じ、外に飛び出したジャック。二人は無事、保護されるが、思わぬ日々が待っていた。特異な生活を強いられながら、共に支え、愛し合う母子の姿に胸がいっぱいになる感動と驚愕のドラマ。主演のブリー・ラーソンは本作でアカデミー賞主演女優賞受賞。2016年4月8日公開。
    http://gaga.ne.jp/room/

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Photo: Toshiki Hiraiwa Interview & Text: Aki Takayama

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