妖精の苦悩:パリ・オペラ座バレエ団新エトワール、レオノール・ボラック
名門パリ・オペラ座バレエ団の新エトワールとして、去る3月に行われた来日公演では2つのプログラムで主役級の役を踊ったレオノール・ボラック。妖精のようなオーラの可憐なバレリーナだが、内面はかなりのしっかり者。オペラ座に入団してから頭角を表わすまで、長く努力を続けた苦労人でもある。『ダフニスとクロエ』のリハーサル直前のレオノールに、バックステージでインタビューを行った。
別のバレエ団で踊ったほうがいいかもと思った
―――ご家族にダンサーはいましたか?
レオノール・ボラック(以下L):いいえ。姉は医者で、妹は乗馬の騎手をしています。兄は映画関係の仕事をしていて、クリエイティヴな仕事に就いているという意味では同業といえるかも知れません。4歳のときに母に連れられてバレエ教室に行き、従妹と一緒に習い始めたのがきっかけです。ちゃんと練習をしたら、ボンボン(飴)をくれるという約束で……でも、私自身とても夢中になってしまったんです。ショパンのノクターンやブラームスのワルツに合わせて、いつも踊っていました。
―――昨年の12月に『白鳥の湖』のオデット/オディール役で最高位のエトワールに任命されました。ここまでの道のりはスムーズでしたか?
L:とても苦しい時代がありました。カドリーユ(オペラ座バレエ団の5つの階層の1番下)を5年間つとめましたが、これはとても長い期間だったといえます。控えの役が多く、誰かがケガをしない限り舞台に上がることも出来なかったんです。2014年にコリフェに昇進してから、運命が動き出しました。前芸術監督のバンジャマン・ミルピエが私を『くるみ割り人形』の主役に抜擢してくれたことがきっかけです。その年には賞もいただき、忘れられない年になりました。
――つらかった5年間の間に、バレエをやめようと思ったことは?
L:やめようとは思わなかったです。つらいときも家族が支えてくれたから……しゃしゃり出て何かをするんじゃなくて、さりげなく影から支えてくれる感じですね。それに私の性格はとても強くて、こうと決めたら絶対に曲げないんです。ちょっと短気なところもあって、物事がスピ ーディに進まないとイライラするところもあります。だからオペラ座でのキャリアが停滞したときは、別のバレエ団で踊ったほうがいいのではないかと思うことはありました。でも、バレエのない人生は想像できなかったですね
Styling: Emi Ogura Hair&Make: Tomomi Fukuchi Interview&Text: Hisae Odashima
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レオノール・ボラック(Leonore Baulac):1990年5月10日、パリ生まれ。パリ・オペラ座学校を卒業してパリ・オペラ座バレエに2008年に入団。12月31日パリ・オペラ座バスティーユで上演された『白鳥の湖』でバレエダンサーのトップ、エトワールに任命された。
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オペラ座&ロイヤル 夢の共演 「バレエ・スプリーム」
パリ・オペラ座バレエ団と英国ロイヤル・バレエ団の若きスターたちが集結する「至高」の舞台! オペラ座&ロイヤル 夢の共演。
公演日程/2017年7月26日(水)、27日(木)18:30~、7月29日(土)13:00~ 18:00~、7月30日(日)14:00~
会場/文京シビック大ホール
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一斉発売 4月8日(土)10:00~
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