インタビュー 2013/12/5(木)
女性活力担当大臣にロングインタビュー

【前編】女性活力担当大臣・森まさこ“働く女の生きた道”

「女の道は一本道にございます」。そんな流行語が出回ったのも嘘かのように、ますます働く女性の人生は複雑化してきている様子。そのためか、女性に特化した支援策が世界的潮流になっている今、“女性活力担当”として重責を負う、森まさこ国務大臣にインタビューを敢行。これまでと、これからの政策、そして自身の働く女性としての経験をクローズアップ!

―役員に女性を1人登用することは素晴らしいのですが、雇用機会均等法施行後の女子社員たちのように、1人だけ起用された女性が、男性に囲まれて孤立し、ものすごく大変になるような気がします。そういった女性たちが潰されず、次に繋がる活躍をするため、フォローはどうされるのでしょう?

森:おっしゃる通りですね。そのために政府は“人材リスト”を促進しています。以前、企業に「1人女性を登用しようとしても人材がいないんです」とか言われたんですよ。何言ってるんだ?!と思いましたよ。半分は女性なのにいないわけ無いでしょ?!って。今、学校で優秀な学生と言ったら多くが女性ですよ。どんな大学でも主席で入学、卒業する人には女性が増加している。

 

ところが、大学までは優秀でも、社会に出た途端にいきなり活躍度が下がってしまう。実際に持っている実力が適正に評価されていない。だから「いないんだったらウチが取り揃えます」って言いました。人材バンクを作って、「これだけ優秀な女性がいます」とわかってもらう。

 

また、別の話ですが、(経団連側は)経営陣に登用する女性が「外国人でもいいか?」と訊いてきました。私はちょっと迷ったのですが、「いいです」と言いました。例えばフランスで男女平等が当たり前の中でやってきた女性がやってきて(おかしな部分を見つけて)「何コレ?! 信じられない」と日本の男性取締役たちに言ったらそれはそれでショックを受けるでしょう。ショック療法としていいのではないかと。

 

日本の男性陣は、取締役として、女性が育児と家庭と仕事を両立させる姿を見たことがないんです。おじさま方は見たことがないんですよ。実際に目にすれば「ああ、やれるんだ」、場合によっては「自分たちより優秀だ」と気づき、子育ても楽しいことなんだとわかってもらえるんじゃないかと……。そして、もうひとつの効果は、日本人女性にも見てもらうことで表れると思います。取締役の女性たちにロールモデルになってもらうんです。
 

―メンターにもなってもらうということも期待できますね?

森:そうですね。それからもうひとつ、安倍内閣が支援して推し進めているのが、女性の起業です。日本の女性には生活者としての様々なアイデアがあります。消費者として生活者としての目線が非常に優れています。柔軟性もあります。お客様を理解できるんですね。それを活かして会社を起こしてもらえれば、日本経済にも刺激になりますし、理想的な経済循環が期待できる。

 

でも、それを難しくしているのが資金面と、ネットワークの問題です。男性は“ボーイズネットワーク”というのがありましてですね…。

 

―あぁ、ありますね~。

森:ほんとに(笑)。サークルのノリで「誰々先輩が●●会社にいるよ」「●●会社に同級生がいるから紹介してもらおう」など、ネットワークで回しているんです。でも、女性はそのネットワークが弱いんです。そこを、政府が後押ししようというのです。たとえば、起業するのに弁護士が必要だとなっても、起業に強い弁護士さんを見つけるのは大変。弁護士、公認会計士、社労士など資格を持つひとから、コンサルタントまで、繋げてあげられる仕組みをこれから作っていきたいと思っています。

 

資金面もすでに予算をつけていますが、女性が起業するときに最大200万円までの補助金が出せるようにしました。安倍内閣が発足し、「若者・女性活躍推進フォーラム」をすぐに立ち上げ、若者や女性が活躍できるよう、さまざまなメニューを取りまとめました。これを総合的に実行に移しています。ひとつやったら女性が活躍できるわけではありません。いろいろなメニューがあり、悩みも様々。地域によっても違います。地方に私たちが出向き、議論をし、そこで出た知恵をひとつひとつ政策に落とし込んで来ました。

 
>>森まさこ議員が“働くママ大臣”になるまでの道のりは後編で公開! 

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  • 森まさこ

    1964年、福島県生まれ。国務大臣。女性活力・子育て支援担当大臣、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全、少子化対策、男女共同参画)。自民党参議院議員。弁護士。幼少期、借金取立てに怯える日々を救った弁護士に憧れ、東北大学法学部卒業後、司法試験に合格。「ココ山岡事件」「オレンジ共済事件」など話題となった消費者事件を手がける。日本弁護士連合会の推薦により、長女を出産直後、ニューヨーク大学ロースクールに留学。次女を出産後、夫のワシントンDC留学に同伴し、専業主婦経験を経験。帰国後、2005年金融庁の任期付職員に。グレーゾーン金利の廃止に貢献。2007年参議院議員に当選。2012年より現職。

    公式HP http://www.morimasako.com/

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