特集
2016/01/16(土)
FROM ELLE WORLD

アラサー&アラフォー女子必読! スラッシャー" / "として生きていく術

「シンデレラ世代」と呼ばれる現在26~40歳の女性たち。アナログからデジタル、バブルから長く続く不況へと、人生を激動の時代とともに歩んできた彼女たちが見いだしたアイデンティティこそが、同時に複数の自己を生きる「スラッシャー=“ / ”」としての自分だ。いくつもの顔、いくつもの職を持ってて何が悪いの? 賢くしたたかに、スラッシャーとして生きる術をUK版エルが分析する。

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生活の糧を得るために増え続けるスラッシャー

20後半~30代の女性で同時にひとつ以上の職を掛け持つ「スラッシャー=“ / ”」と呼ばれる人たちが増えているというのをご存知だろうか。
 
「スラッシュ・キャリア」という言葉は2000年代に作家のMarci Alboherによって造られた言葉だ。彼女はスラッシュ・キャリアの人々は副業についての考え方をまったく新しくしたと指摘する。「副業することは今までは恥ずかしいとされることでしたが、弁護士 / シェフ、母親 / 映画のシナリオライターなどスラッシングには威信があるのです」
 
ジェン・ロングはロンドンを拠点にしたスラッシャーだ。彼女は現在29歳で、「DICE」という最近スタートしたばかりのチケット購入アプリの音楽編集者をしている。「私は他にも、放送やプレゼンテーション、執筆、A&Rもやってるわ」と彼女は言う。「自分の全力を傾けさえすれば、何でもできるじゃない?」
 
一昨年、BBCの「Radio1」を辞めた彼女は、我々がひとつのことにすべてを賭けられないのは雇用の保証がないからだという。経済恐慌によりあらゆることが流動的になった。いまでは弓に弦を張れば張るほど、チャンスは増えるのだ。でも、ジェンは誰もがそれを分かっている訳ではないという。「私のシンクを直しにきてくれた配管工事の人は私が結婚もしていなければ、子どももいないことをとても心配していたの。彼は私がどうやって暮らしていっているのか理解できなかったみたい」
 
ロンドンを拠点にする28歳のティファニー・ソイは建設プロジェクト・マネージャー / ヨガのインストラクター / ロック・クライマーをこなすスラッシャーだ。彼女は最近、自分でヨガ・ビジネスを始めた。「この先ずっと、9時~5時の通勤ライフをしたいと思う必要なんてないわ」。彼女は終わりのないラットレースについてそう語った。ティファニーは何か自分の情熱を傾けられることを日々の仕事と平行して積み上げていくことで、いつかそのレースから完全に降りることができると信じている。
 
生活の糧を得るということがスラッシャーを生み出すひとつの原因となっている。階層の固定化によって、一部のエリート以外は自分の稼ぎや生活水準について満足していない。イギリスの国家統計によると、2013年にはフルタイムの労働者のあいだでの給料の性差は10%に増え、管理職についている人の割合は男性が37%なのに対して、女性は18%だった。
 
ゴールを達成するために、女性はひとつのはしごを上り続けるよりも、全く異なる枝の間を行き来しながら進んでいく。チャータード・マネージメント・インスティチュートは昨年のレポートで、女性が男性との収入差を埋めるためには80歳まで働き続けなければならないと発表した。スラッシングは女性が将来に向けて自分で蓄えるための巧みな方法なのだ。
 
しかしながら、スラッシングには経済的理由以外もある。ベビー・ブーマー世代はひとつの道に沿ってまっすぐ進むことを奨励された。だがミレニアル世代は最初のポスト・インターネット世代で、学問、スポーツ、音楽といろんな事に啓蒙を受けてきた。そして自分の情熱を追求することはお金儲けに勝ると信じている。ダグラス・クープランドの『ジェネレーションX』やチャック・パラニュークの『ファイト・クラブ』では、主人公たちはすごいスピードで仕事を片付けると、仕事から離れた生活で全く違う人間へと様変わりする。ミレニアル世代はこう尋ねる「どうしていつも同じ人間でいちゃいけないわけ?」
 
ジェンはそれを上手に表現している。「仕事をストップすることもないけれど、始めることもないの。私は朝起きて『ハー、仕事に行かなくちゃいけない』という風にはならないの。私の朝はこうよ、『オッケー、今日は何をするんだっけ?最高だわ。』それが私の人生よ」

Translation & Text: Naoko Ogata

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