特集 2015/2/13(金)
二村ヒトシさん×OLIVIAさん対談

思い込みを捨てよう! “気持ちいいセックス”のすすめ

セックスに関する情報があふれる昨今、セックスは「こうであるべき」というルールに縛られて、自分にとって本当に気持ちいいセックスから遠ざかってしまっている可能性も。アダルトビデオ監督の二村ヒトシさん、ラブライフアドバイザーのOLIVIAさんを迎えて、男女にとっての“気持ちいいセックス”をとことん追求します!

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何のためにセックスするの?

O:情報が多くなると悩みも増えますよね。10年前なら「イケないんです」という悩みが主流だったんですけど、最近は「中でイケない」「外でイケない」「マルチオーガズムを体験できない」とか細分化されていて。
 
N:「中でイケないとダメだ」っていう思い込み、ありますよね。
 
O:勝手に築き上げてる理想のセックスがありすぎて、余計に苦しんでいるのかも。私が思う理想のセックスは、極上のアロマトリートメントを受けたあとのような感じ。癒され感とリフレッシュ感があって、健康になった気分になれることですね。
 
N:そういうセックスって、しても疲れないですよね。
 
O:疲れないし、むしろリバイタルする感じ。終わった後の気分がよくて、そのあと1週間ぐらいセックスなしでもテンションが上がった気分になれるのが理想です。でもやり方は人それぞれなので、終わった後の感想、気分のウキウキ感を大事にしてねといつも言ってます。
 
N:男はセックスで精神的には高揚するけど、体はだいたい疲れちゃう。なぜなら女性を気持ちよくすることが自分の役目だと思ってるから。女の人からかまってもらうことの代償にセックスを使っていたり、もしくは「セックスできる自分は男として上等だ」って思ってるから。ファルスを使うセックスとは、たとえば「お金を稼ぐこと」と同じなんですよ。心のなかの父親に勝つために、あるいは父親的なもの(男性社会)に認められるためにセックスしてるんです。相手の女性のことをちゃんと見れていない人も多い。
 
―そうなんですか?
 
N:基本的にはそう。だけど「それだと気持ちよくない」ってことに、男たちも気づき始めてる。ところが、そういう男の多くは今度は「心のなかの母親に甘える」ようなセックスを求めるようになる。モテる男は、甘えられる女をたくさん増やそうともする。それもまた、実は「父親に勝つため」の作業なんだけど。
 
「何のためにセックスするの?」っていう話だよね。今はセックスについて語る人も、聞きたいという人も増えていて、セックスや恋愛に関する情報がたくさんあるんだけど、「何のためにそれをするの?」と問われると答えられない。これが「なぜ食べるの?」なら「人は1日3回食べるのが普通でしょ」って答えになって、それを見直すことでファスティングとかスローフードとか、いろんな新しい考えが出てきて、自分のことを考え直すことができる。ところがセックスの話になると、そこには「愛」という厄介なものが関わってくる。あまりにも抽象的なので「愛のあるセックスは、素晴らしい」ってなると誰も反論できないでしょ。だから僕も、つい、そう言っちゃうんだけど。でも、それって何も答えてないのと一緒。
 
すごくざっくり言うと、セックスの動機って「かわいがられたい、大切にされたい」か「この人に、私の行為や存在で気持ちよくなってもらいたい」か「この人に支配されたい」の、どれかですよ。まあ「好奇心」とか「わざと傷つきたい」っていうのも、あるかもしれないけど。男性的な人の場合は「この人を支配したい」ってのもある。
 
本来は生殖行為でしかないはずのセックスだけど、人間は、それだけだと物足りない。だから意味がほしい。セックスは明らかに肉体だけじゃなく脳に快感が生じてしまう。恋愛やセックスは人生にとって意味がある、絶対的に「いいもの」だと思い込みたがる。だからこそ男はセックスをたくさんできない自分はダメなんじゃないかと思うし、女性は周囲を見て結婚を焦るし、人を愛せない自分は間違ってるんじゃないかと思って悩んだりする。
 
「意味なんてないんだから、好き勝手に、やりたいようにやればいい」って言いたいんじゃないんですよ。それだと、いつか破綻します。せっかく“相手のあること”なんだから、お互いに優しくして、自分のやりたいことと相手がやりたいことを理解して、すり合わせていくほうがいい。そのためにも、まず「なぜ自分は、それをしたいのか」を自分で理解するべき。それを知れば、つまらない相手との無駄なセックスをしなくて済む。
 
O:みんなセックスのことを自分で考えないんでしょうか。
 
N:人から聞いたストーリーや常識を、そのままなぞってる人は多いでしょうね。昔だったら「女性は、おとなしいほうがいい」とか、今だったら「女性も積極的に楽しんだほうがいい、楽しまなければ損」とか、その時代ごとの物語があるでしょう。で、多くの人がそれをそのまま受け取って「こうすればいいんだ」とか「それができない自分は遅れてる……」とか。男は男で、AVでやってるようなことをそのままやってる。
 
O:答えは自分の欲望のなかにしかないのに、外に探してしまうんですね。

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photo : Getty Images

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