思い込みを捨てよう! “気持ちいいセックス”のすすめ
セックスに関する情報があふれる昨今、セックスは「こうであるべき」というルールに縛られて、自分にとって本当に気持ちいいセックスから遠ざかってしまっている可能性も。アダルトビデオ監督の二村ヒトシさん、ラブライフアドバイザーのOLIVIAさんを迎えて、男女にとっての“気持ちいいセックス”をとことん追求します!
やり方を変えて解消することも
―新しい提案をするときに「こういうセックスがしたい」って女の人から言いづらいこともありますよね。
N:セックスレスの話にもつながるけど、こっちには性欲があるのに、セックスに興味がない人や性欲が薄い人とくっついちゃうこともあるしね。難しいですよね、興味のない相手に「私には欲望や好奇心がありますよ」って伝えるのも。
O:性欲って、食欲や睡眠欲と同じで本質的なものだから、小食な人の食を太くするのは難しいように、もともとの性欲の量を変えるのは難しいと思います。ただ、やり方を変えることで、このやり方なら好き、性欲がアップする、このセックスならもっとしたい、となる場合もあるので、やり方を変える提案は有効だと思ってます。
N:OLIVIAさんは女性から相談を受けたとき、どうアドバイスしてるんですか? こういう言い方だったら彼氏も受け入れてくれる、みたいな。
O:ふたりで共有することが大事で、押し付けちゃダメって言ってるんですね。たとえば私のコラムや本を一緒に読んでみるとか。「これして」っていう一方的な提案じゃなくて、まずは相手を誘い込んで興味を示すかどうか様子を見る。実際のテクニックの面では、自分がされたいことを相手にすること。前戯にゆっくり時間をかけてほしいなら、それを彼にやってあげる。男性も意外とやり方がわからなかったりするので、お手本を見せてあげるんです。最初は一方的な奉仕みたいに思えるかもしれないけど、彼もそれが気持ち良ければ返してくれますから。
N:それをやらない男性もいますよね。相手にやってあげたことって、基本的に「こちらがやられたいこと」のはずなんだけど、その回路というか、理解するセンスがない人がいるんだよね。そういう人とは早めに別れたほうがいいと思います(笑)。
O:確かに、毎週試したけどダメだったって報告が来たこともあります。彼は変わらないんだと諦めて、他の男性に目がいっちゃうことも。
N:相手のことを「変えよう」と思ってると絶対に変わってくれないんだよね。良いほうに変わる人は、タイミングがくれば必ず変わるので。相手が変わってくれないと自分が絶対に幸せになれないって思い込みも、つらいですよね。こっちはやりたいけど、相手がやりたくないっていうことには、たぶん意味があるんですよ。人の心とか性にまつわる不満って、そのトラブルが起きていること自体に何かしら意味がある。欲求不満になりやすい人ほど、それをもたらす人と付き合いがちじゃないですか。浮気されるのが嫌なのに、毎回、浮気男と付き合っちゃったり。あれは、そこになにか「本人自身が気づくべきことの鍵」が隠されてるんですよ。そう考えるとセックスレスも、それで「どちらかが苦しんでいる」んだとしたら事態は単純ではないので関係を見直すべきで、何らかの意味があるわけだから、そこに向けて着地していかないと。「なぜそうなのか?」ということに、お互い少しずつアクセスして、コミュニケーションするのがいい。
O:セックスレスは性欲の差ということもありますよね。セックスをしていなくてもお互いに友達みたいな仲良し夫婦もいれば、家庭には性をもち込まず、外で浮気をして家では家族っていう人もいます。片方がしたいけれど、もう片方が拒否してるっていう状態の人が相談に来るんですよね。恋愛もセックスも本人たち次第だと思うんですけど、もし不満があるなら、テクニックを使ってやり方を変える、質を変えることで解消できることもあります。
過去の相談で、性交痛のある女性が、夫とのセックスでは痛かったけど浮気相手とは気持ちがよかった、という例がありました。よくよく話を聞くと、その夫とはお互いに初体験同士でテクニックがなかっただけ。体位と前戯を変えたら良くなったそうです。そうしたら夫とのセックスのほうがいいとなって、浮気はやめました。ちょっとしたひと工夫で改善することもあるんです。濡れないという相談も、やり方を見直すことで解消した成功例もありましたよ。
photo : Getty Images
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二村ヒトシ/アダルトビデオ監督。1964年六本木生まれ。慶應大学文学部中退。1997年にAV監督デビュー。痴女もの、レズビアンものを中心に独創的な演出のアダルトビデオ作品を数多く手掛けるかたわら、『すべてはモテるためである』(イースト・プレス刊)、『恋とセックスで幸せになる秘密』(同)などの著書で、恋愛やモテについて鋭く分析。女性とセックスを知り尽くした見識に定評がある。最新刊『淑女のはらわた』(洋泉社刊)、『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(文庫ぎんが堂刊)も好評発売中。
http://nimurahitoshi.net/ -
OLIVIA(オリビア)/ラブライフアドバイザー、アロマセラピスト。1980年生まれ。2007年より性に関する総合アドバイザーとしての活動を開始。テレビ、ラジオ出演をはじめ、雑誌やウェブサイトでの執筆、セミナー開催など幅広く活動中。自身が考案したカップルマッサージ「LOVEもみ」のレッスンや、セクシャルカウンセリングとアロマトリートメントを組み合わせたオリジナルセラピーが女性に大好評。著書に『感じるセックス、飽きないセックス』(実業之日本社刊)、電子書籍『人に言えない、セックス相談室』(KADOKAWA刊)ほか。
http://www.olivia-catmint.com/