思い込みを捨てよう! “気持ちいいセックス”のすすめ
セックスに関する情報があふれる昨今、セックスは「こうであるべき」というルールに縛られて、自分にとって本当に気持ちいいセックスから遠ざかってしまっている可能性も。アダルトビデオ監督の二村ヒトシさん、ラブライフアドバイザーのOLIVIAさんを迎えて、男女にとっての“気持ちいいセックス”をとことん追求します!
男のほうがセックスは怖い?
N:みんな気持ちいいことが好きなはずだって僕なんかは思っちゃうけど、セックスに罪悪感をもつ人も、痛いことが気持ちいいという人もたくさんいますよね。いわゆるハッピーなセックスだと感じないという女性もけっこういて。それは現代に限らず大昔からある話だし、なかなか一筋縄ではいかないところです。
O:昔、SMプレイをしてるときに、泣きながら「神様、ごめんなさい」って言ってることがありました。生きてることが罪だと思っていたのか、口に出して言いたくなるときがあったんですよ。それをプレイで発散してたのかもしれません。
N:AVばっかり見てる男のなかには、バックでやるときにすぐに女の人のお尻を叩きたがるヤツがいるよね。僕もそうなんだけど……(笑)。ハードSMまでやる勇気はないけど、お尻を向けてくれると何となく叩いちゃう。女の人も、Mっぽく楽しめているときと、実は「この人、なんで私のお尻を叩いてるんだろ……」って醒めてるときとがあるでしょう。
O:その日の気分とテンションによって違うんですよね。
N:それでも叩かせてくださってるのは女性の側の優しさだと本当に思うんだけど、じゃあ男は叩いて本当に興奮してるかっていうと、それも「なんとなくAVの真似をしてるだけ」であって。本当だったらSって大変な作業ですよね。相手に罰を与えて、その魂を救うなんて、そんなめんどくさいこと、せこい支配欲のある男にはできないですよ。でも世間の自称Sは、SMの真似ごとで相手を支配してる気になる。そういう男はヤリチンです。
O:男の人って、「こうしとけばいいだろう」的に、きっと前の彼女が好きだったんだろうなってことをすることありますよね。使い込まれてる感じ。
N:女性からしたら「あー、はいはい、そういう手癖なのね」って感じですよね(笑)。本当はもっと、お互いをちゃんと見て「この人は、こういうのが好きなんだ」って発見し合っていくのが面白いんですけどね。ところでOLIVIAさんは、男性から「手ごわそうだ」と怖がられたりしません?
O:この仕事を始めてから、交際を申し込まれる回数が減りました(笑)。逆に挑戦してくる人は、すごく自信のある男性。それ以外の人は遠巻きに見てるだけ。
N:たぶん、みんな「比べられたくない」という気持ちがあるんですよね。
O:なんか寂しいですね、勝手に先生扱いされるの。それ以外に楽しいこともあったのに、セックスで太刀打ちできないと思われて、他の楽しみも全部やめられちゃう。怖いって思われるのかも。
N:自分のことを見抜かれることが怖いんですよ。OLIVIAさんに顔を見られるだけで、ペニスの形からサイズまでバレてるんじゃないか、って。それもファルス的な発想で、自分の人間的な小ささを見抜かれるのが怖い。見栄を張りたい。だから、ごまかすために必死で腰を振るんです。女の人は電気を消したがるでしょ。でも、お互い、そんなに隠さなくていいんですよ。自分では「太ってる」って思うかもしれないけど、その女性に惚れてる男の目には、裸というのは美しく見えるものなんです。気持ちよがってるときの顔も、そうです。
セックスって、その人の正体が相手にバレることだから、みんなセックスが怖いんです。下ネタとか言ってる男のほうが、それで自衛してるってこともある。女性ももちろん怖いだろうけど、実は男のほうが自分のセックスについて怖がってますよ。OLIVIAさんと話すと、きっとなんでもバレちゃう、それはヤバいと(笑)。
O:なんか目の奥が泳いでるのがわかるんですよ、そうなると申し訳ないって思います(笑)。それが男性のファルスなんですね。
N:男のほうが勝手に「怖い女性だ」って値踏みしちゃう。そういうケースって一般の男女の間でも、たくさんあるんじゃないかな。この女はやれそうだとか、この女はヤバそうだとか、どっちにせよ迷惑な話ですよね。女性の側から「この男性と、やりたい」と思えた相手に、いい感じで自分の欲望を伝えるには、どうしたらいいんですかね?
O:私はストレートに出すので、回りくどいやり方がわからないんですよ。
N:ちらっと欲望を見せることですね。ガバっといくと、男は萎えるって話もあるから。って俺、すごい普通のこと言ってるね(笑)。
photo : Getty Images
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二村ヒトシ/アダルトビデオ監督。1964年六本木生まれ。慶應大学文学部中退。1997年にAV監督デビュー。痴女もの、レズビアンものを中心に独創的な演出のアダルトビデオ作品を数多く手掛けるかたわら、『すべてはモテるためである』(イースト・プレス刊)、『恋とセックスで幸せになる秘密』(同)などの著書で、恋愛やモテについて鋭く分析。女性とセックスを知り尽くした見識に定評がある。最新刊『淑女のはらわた』(洋泉社刊)、『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(文庫ぎんが堂刊)も好評発売中。
http://nimurahitoshi.net/ -
OLIVIA(オリビア)/ラブライフアドバイザー、アロマセラピスト。1980年生まれ。2007年より性に関する総合アドバイザーとしての活動を開始。テレビ、ラジオ出演をはじめ、雑誌やウェブサイトでの執筆、セミナー開催など幅広く活動中。自身が考案したカップルマッサージ「LOVEもみ」のレッスンや、セクシャルカウンセリングとアロマトリートメントを組み合わせたオリジナルセラピーが女性に大好評。著書に『感じるセックス、飽きないセックス』(実業之日本社刊)、電子書籍『人に言えない、セックス相談室』(KADOKAWA刊)ほか。
http://www.olivia-catmint.com/