女性の間で評価がまっぷたつに分かれる物語
この映画を観た女性の感想、まっぷたつに分かれていますね。かたや「号泣した! さわやかな感動じゃなくて、私自身が経験した切実な苦しみが描かれてるから、観終わった後もいろいろ考えこんでしまった」という意見。かたや「かぐや姫の悩みと怒りが、理解も共感もできなかった……」という意見。共感できなかった派の女性から「この映画は“美人あるある”だから、私たち普通の顔の女は感情移入できないよ」という意見も出てました。ただし、美人でも感動してない人、美人じゃないのに感動してる人も大勢いるようです。
この映画で描かれているのは、“女性の自意識が、男性が支配しているこの社会と、どのようにぶつかるか”という問題です。そのことを「それを抱えこみすぎて女の側がメンタルをおかしくしていても仕方がない。感情を上手に逃がす方法も、ごまかしではなく男社会と上手に戦って勝つ方法も、男たちと仲良く生きていく方法もある」というふうに考えたり体感している女性には、この映画はあまり面白くないのかもしれません。
「いまはもう“女だから苦しい”とは感じなくなったけれども、私も昔は“かぐや姫だった”ことがあった」と感じた女性は、また違う感想を持たれるかもしれません。
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二村ヒトシ/アダルトビデオ監督。1964年六本木生まれ。慶應大学文学部中退。1997年にAV監督デビュー。痴女もの、レズビアンものを中心に独創的な演出のアダルトビデオ作品を数多く手掛けるかたわら、『すべてはモテるためである』(イースト・プレス刊)、『恋とセックスで幸せになる秘密』(同)などの著書で、恋愛やモテについて鋭く分析。女性とセックスを知り尽くした見識に定評がある。最新刊『淑女のはらわた』(洋泉社刊)も好評発売中。
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『かぐや姫の物語』
監督/高畑 勲
声の出演/朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子
配給/東宝
公式サイト/http://www.kaguyahime-monogatari.jp/
全国東宝系にてロードショー