保守化する若手女性を襲うキャラ弁という不合理
2017/11/27(月)
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「夫は働き、妻は家庭」が理想。山口百恵像が今、再び憧れになりつつある?

Photo : Getty Images

世界で日本女性だけが保守化する珍現象

仕事柄、外国人に日本の女性の話をすることがあるのですが、一様に驚かれるのがこの内閣府のデータです。
 
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に「賛成」と答えている20代女子が年々増え続けいるのです。そして2016年データでは全年代の中で20代がもっとも賛成率が高くなりました。前回ご紹介した日本の女性の保守的価値観(=25~34歳での人生のプライオリティを結婚・出産とおいていること)とも合致しているわけですが、若い世代の保守反動とも見えるこの傾向は、弊社のどの調査を見ても他国では見られません。
 
では、日本の女性たちは社会で働くことは二の次で、結婚したら子育てや夫の世話といった家庭内労働だけに勤しみたいと思っているのでしょうか。そうであれば、過去の不平等で不自由な社会に戻ることにはなりますが、女性はある意味現在より楽に生きられるでしょう。ところが、そう望んでいるわけではないところが問題です。

「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」には(ただし、安定した経済力がある場合に限る)が付くことに若い女性は気づいている。

先ごろ発刊された「両立不安白書」(スリール調べ)では、20~30代の出産経験のない女性たちの9割以上が、仕事を続けたいと思っていることがわかりました。つまりは「家庭で幸せに生きる女性像」と「経済力・社会的存在感」の両方を求めているのです。二項が対立してしまい、両立ができないことへのプレッシャーや不安は上の世代と変わらないのです。 
 
そこで、現代を生きる20代の若者は解決策を見出しました。仕事における“妥協”です。先日『BUSINESS INSIDER』に、今年度の就職活動において「高学歴女性たちが“一般職”を目指している」という内容の記事が出ていました。かつて男性社員のサポート役となり、お茶組みや雑用を担い、出世やキャリアアップができない差別的職種として否定されてきた“一般職”をあえて目指している女性が増殖しているというのです。自身の仕事の価値を高めるよりも、ワークライフバランスのほうを重視するという堅実性・先見性には少し驚きましたが、「やりがい」を選んだところで結婚・出産を先延ばしにしている(ように見える)女性たちや、両立をしている総合職の女性たちがまるでスーパーウーマンのようになんでも必死に頑張る姿を見ている彼女たちにとって、“一般職”は自分が両立を可能にするための現実的なひとつの解決策なのかもしれません。
 
しかし、ここで大きな疑問が出てきます。「なぜ若い女性たちは家庭生活と自分のキャリアを両立させることに、自信がないのか?」。その答えを探る前に、日本人女性の自信のなさを数値で確認してみましょう。

Text : Kumiko Ohashi

  • ※日中米英印等14カ国/18~70歳女性各国500人/人口による年齢割付/オンライン調査/2016年実施

  • 大橋久美子/東京大学文学部社会学科卒、博報堂マーケティング局、研究開発局を経て、2003年ジェイ・ウォルター・トンプソン・ジャパンに入社。広告業界で25年、アジアや日本の女性たちと向き合いながら、女性たちを輝かせるためのブランディングを行う。

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