特集 2016/9/1(木)
LOVE&SEX SPECIAL 2016

【XYZ世代別ヒロインで解く!】映画に見るジャパニーズエロスの世界

『痴女の誕生』『エロの敵』などの著書で日本の“エロス”の歴史とトレンドについて説き、アダルトメディア研究家として本の執筆や講演会を行っている安田理央さん。そんな安田さんが、往年の日本映画から現代までの日本で描かれた官能ヒロインたちの歴史をひも解き、さらに今後のジャパニーズエロスの行方について熱く語る!

エロティックな描写のある映画に惹かれてしまうのは、どうしてだろう。単に性表現を求めるなら、アダルトビデオ(AV)の方がずっと刺激的だしストレートだ。実用的と言ってもいいだろう。しかし、それでも官能に訴えかけるという面で、AVがどうしても映画に勝てない部分がある。そのひとつがヒロインの存在だ。印象に残る官能的な映画には、必ず魅力的なヒロインが登場する。ヒロインが魅力的だからこそ、彼女の濡れ場が見るものの情感に強く訴えかけるのだ。

その性質上、ドラマや演出部分にあまり力を注ぐことのできないAVにおいては、出演しているAV女優に対して魅力を感じることはあっても、作中で演じられているヒロイン像に惹かれることは、ほとんどないだろう。しかし、映画では登場するヒロインそのものに強い思い入れを感じることが少なくない。
 
これまでに、多くのヒロインたちが、その魔性の魅力で男性たちを虜にしてきた。『天使のはらわた』シリーズに登場する名美、『白蛇抄』のうた、『ジョゼと虎と魚たち』のジョゼ、そして『私の奴隷になりなさい』の香奈……。彼女たちは、決してパーフェクトな女性ではない。むしろネガティブな面を持ち、世間からは後ろ指をさされてしまうような立場であったりもする。しかし、彼女たちは強烈な魅力を放ち、観る者の心を激しく掴んでしまう。

彼女たちがどうして、それほどに魅力的なのか。どうして男性の心をとらえるのか。改めてそうした視点で見てみると、エロティックな映画は、さらに興味深いものになるだろう。今回は、魅惑的なヒロインが登場する作品という斬り口で、70年代から80年代までをX世代、90年代から00年代までをY世代、そして2010年代をZ世代と分類してみた。ここから、邦画で描かれたヒロインのトレンドとこれからの日本の性意識の方向が見えてくるだろう。

text:Rio Yasuda

  • 安田理央/ライター、アダルトメディア研究家。1967年埼玉県生まれ。美学校考現学研究室(講師=赤瀬川原平)卒。主にアダルトテーマ全般を中心に執筆。特にエロとデジタルメディアの関わりに注目している。AV監としても活動し、2011年には、AV30周年を記念し、40社以上のメーカーが参加するプロジェクト「AV30」の監修者を務める。著書に『裏デジタルカメラの本』(秀和システム)、「OPEN&PEACE 風俗嬢」(メディアックス)、『エロの敵』(雨宮まみと共著 翔泳社)、「安田理央のB級グルメ道」 (オフィスマイカ)など。新刊『痴女の誕生』(太田出版)が好評発売中。
    http://www.lares.dti.ne.jp/~rio/

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