特集 2016/5/29(日)
FROM ELLE WORLD

斜に構えた態度はもうおしまい! アラフォー世代の皮肉体質を問う

皮肉っぽい態度はもう時代遅れ。ミレニアル世代が抱える「ちょっとダサイかも」と思っているものを斜に構えて楽しむスタイルはNG。ポストミレニアル世代のようにストレートに楽しむのが今っぽいし実はクールなのだ。UKエルのエディター、ハンナが分析。

ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)

昨夜、私は「ワンジー」のパジャマを着て、ジャスティン・ビーバーの曲を聞きながら、“LOL”と絵文字だらけのSMSをタップしていた。念のため断っておくと、私は教養もあり、洗練された女性であり、いま言ったようなことは当然皮肉交じりでやったこと。ただ単に、低俗を気取ってみただけ。“本気”でビーバーを聞き、ワンジーを着て絵文字で会話しているような人たちをダシにしたジョークでしかない。でもここ1年で、オンライン上でも現実世界でも、何かかが変わった。こんな斜めな見方は、もう終わりなのだ。私たちは皮肉っぽいしかめっ面で高みの見物をするのをやめて、あけすけに楽しむ側に回ったのだ。残念……いや残念じゃないか。実際、最近、“LOL”やウィンクの顔文字で、高度な英語を駆使するよりもずっと簡単に、言いたいことを伝えられるようになった。そしてついには、それでいいじゃないと自ら認めるまでになったわけだ。
 
私たちはダサいセンスをどう思われようと、もう気にしちゃいない。それにうわべだけの皮肉がだんだん説得力を失ってきている。斜めな見方を捨てるのに、どんな意味があるんだろう? 認めたくないけれど実は大好きな楽しみによって、これまでに築いてきた趣味が良いという評判を貶めたくない。スフィアン・スティーヴンスの音楽を味わい、エレナ・フェランテの小説を読み、「セリーヌ」を着ている、それだって私の一面なんだから。インターネットは何がクールで何がダサいか、その共通認識を打ち砕いてしまった。オルタナティブな存在であることを、もう恐れなくていい。むしろ、それを目指しているほど。趣味の良さにとらわれないことで、エッジィだったり、オリジナルな存在になれる。あらゆるものがつながっていて、そのスケールはインターネットと同規模、つまり無限ということだ。
 
もちろん、年齢によっては、自分の趣味について人がどう思おうが気にしないだろう。たとえば15歳なら、ビーバー好きで当然。だって、まさに彼がターゲットにしている層なわけだから。あるいは50歳なら、人がどう思おうが関係ないということを十分に理解しているはず。でも、もし20代後半、あるいはアラサーなら、宙ぶらりんな状態かもしれない。年齢とともに求められる洗練されたものはどこか落ち着かない。むしろ、ポップカルチャーにどっぷりつかる方がよっぽど簡単で楽しい。何にも考えないでデスティニーズ・チャイルドの曲に乗れるのに、どうしてわざわざベートーヴェンの第5番を味わう必要がある? インスタグラムで1時間楽しめるのに、どうしてドストエフスキーを読む必要がある? でも、努力を放棄することで、何かを失っちゃうんじゃないかと心配してしまうのが問題。それって単に知的な怠慢じゃないのって。

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Translation & Text : Akari Ii Photo : AFLO, Getty Images

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