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誰が一番いいセックスをしてるのか?

『女の庭』

花房観音さんは女性の官能小説家ですが、ポルノというよりホラー・ミステリー寄りの作風です。この作品では、女子大を卒業した5人の女たちが恩師の葬儀で久しぶりに再会するんだけど、5人は学生時代にこの教授のハメ撮り映像を偶然見てしまった。で、「そういえば、相手の女は誰だったんだ? この5人の中の誰かなんじゃないか?」という疑惑が再燃するわけです。その謎を縦軸に、30代の女性たちが大学卒業後、それぞれ歩んだ人生が描かれる。全員が結婚しているわけじゃない。どんな人生を歩んでいるか、どんな相手とどんなセックスをしているか、誰が一番幸せなのか。
 
刺激的なセックス描写もふんだんにありますが、女同士のドロドロした嫉妬も怖い。「あの人は私より、いいセックスをしているんじゃないか? 私より幸せなんじゃないか?」っていう感情や、優越感。自分は5人の誰に近いんだろうと考えながら読むと面白いと思います。自分のセックスを自分で選んでいる人のほうが小説の中では幸せに見えるけど、それは社会的には“幸せ”に見られなかったり。同い年の女性たちがどんな男と出会って、自分の性をどう生きているかという対比の物語です。舞台が京都なので「あかん!」とか行為中の台詞が非常にエロい(笑)。
 
セックスにおける幸せって、なんなんでしょうね? 女性の場合、お金持ちで優しくて浮気しない相手から毎晩めくるめくテクニックで愛されれば幸せなんでしょうか。でも、それは選ぼうとしても選びとれるものではないよね。だったら「あなたは自分のセックスを、どう選びますか?」ということを考えながら読んでほしいですね。
 
『女の庭』
花房観音 著(幻冬舎)

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  • 二村ヒトシ/アダルトビデオ監督。1964年・六本木生まれ。慶應大学文学部中退。1997年にAV監督デビュー。痴女もの、レズビアンものを中心に独創的な演出のアダルトビデオ作品を数多く手掛けるかたわら、「すべてはモテるためである」(イースト・プレス)、「恋とセックスで幸せになる秘密」(イースト・プレス)などの著書で、恋愛やモテについて鋭く分析。女性とセックスを知り尽くした見識に定評がある。
    http://nimurahitoshi.net/

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