2013年のMYベストミュージック【伊藤なつみさん編】
今年1年間のカルチャーを総括するため、各分野のプロフェッショナルが2013年にヘビロテした私的ベストを発表。今回は、音楽ジャーナリストの伊藤なつみさんが、今年ヒットした洋楽アルバムのなかから、読者に勧めたいものを5枚セレクト(順不同)。
久しぶりに5人が一堂に会した作品
ザ・ストロークス『カムダウン・マシン』
誤解を恐れずに書いてしまえば、このアルバムは個人的にはフェニックス(フランスのバンドで、ヴォーカルのトーマス・マーズの妻はソフィア・コッポラ)の名盤『ウルフギャング・アマデウス・フェニックス』に匹敵する立ち位置。1曲目から12曲目ラストまでの流れが気持ち良く、今年いちばん、ドライブ中に聴いた洋楽アルバム。そういえば「フジロックフェスティバル‘13」の帰り、深夜に濃霧の高速をこのアルバムをBGMに走っていたら、助手席の友人が「ソフィア・コッポラの映画のなかにいる気分」と話していた。各自の才能溢れるソロ活動も盛んで、何かと解散の噂が立ちやすいバンドであるものの、久しぶりに5人が一堂に会してレコーディングしたアルバムは肩の力を抜いたようなラフな作りが心地よく、NY発信ならではのスタイリッシュな音作りがオシャレ。センスにユーモア、実験的試みも楽しんで完成させた極上のモダンなロックアルバム。
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■『カムダウン・マシン』ザ・ストロークス ¥2,310 ソニー
http://www.sonymusic.co.jp/artist/thestrokes/
Text: Natsumi Ito