ハリウッドの伝統だったセクハラに喝!
P:でも今回の事件で、企業は失敗しないように対応している。スペイシーの少し前に出てきていた「アマゾン」の重役もすぐにクビになったじゃない?(※1) それに子役に性的虐待をしていたエージェント(≒マネージャー)もクビになった。ワインスタインもすぐにクビなったし。だからトカゲの尻尾きりではないけれど今回の事件についてはすぐに切った方が、ダメージが少ないってわかっている。それにしても、ワインスタインを切った弟のボブにもセクハラ疑惑が浮上したという。どれだけダメな会社なの?
K:ハリウッド自体がダメなシステムになっているんだと思います。今回の事件は、枕営業を持ち出して論点をすり替える人もいますけど、アメリカの映画界だけではなくて、権力支配の構図が性犯罪の温床になる社会が問題なんだと思い知るいいきっかけになりました。
P:そうなのよね。ハリウッドは特に昔からそういう体質。映画『風と共に去りぬ』(1939)のメラニー役だったオリヴィア・デ・ハヴィランド(オスカー女優)もそういう体質の犠牲者。『風と共に去りぬ』はMGMが制作だけれど、オリヴィアはワーナー専属だった。だからあの作品に出るために「ジャック・ワーナー(ワーナー・ブラザーズの当時の社長)と2人きりで会う」のが条件、って言われたんですって……。
N:え〜! それはいつ頃明らかになったんですか?
P:それも1980年代になってから。回想録として関係者が語って初めて明らかになったの。昔はスタジオが自分の会社と契約している俳優を奴隷同様に使ってた。そういうものの名残があるのよね。
K:ドラマ「フュード/確執」で見事に描かれてますよね。ハリウッドってそういう奴隷にされた人ばっかりで成り立っている。だから自分が加害者の方になることに抵抗が少ないんだと思います。
N:毒親に育てられた子どもが毒親になるのと同じですね。
K:そういう意味で加害者の意識が薄いのはベン・アフレック。浮気も不倫もセクハラもっていう2017下半期最悪の下半身ゲス男です。
P:バカよねー! ハーヴェイ・ワインスタインの事件が起きたときの対応がね。自分や弟ケシー・アフレックのセクハラ事件が出てくるって思わなかったのかしら。キジも鳴かずば撃たれまいに……。
K:にもかかわらず、声明を出しておかなくてはいけないって思ったというのがバカ。自分の事件が出てくると思わなかったんですよね。腐ってるわ~。
N:ベンの親友のマット・デイモンは「グウィネスがセクハラにあっていたことはベンから聞いていた」って告白してしまったし。友情は壊れましたね。
P:でもベンもマットも何もしなかった。ジョージ・クルーニーだって「アマルもセクハラにあっていた」って言っていたけれど、これまで止める側に回ってなかったってこと。
K:暗黙の了解だった。それが普通だと思ってた。
P:結局、どんなに力のある俳優も止められないってことなんだと思う。告発すればいいのに。
K:嘘だと思われてしまうっていう土壌なんですよ。腐臭がしますね。
P:そのいい例が(TVジャーナリストの)バーバラ・ウォルターズ。性的虐待を告発したコリー・フェルドマンにインタビューをしたとき、「あなたの言っていることは嘘だと思う」って言ってしまったのよね。そういうことが起きるのよ。
K:自分がそういう被害を受けていないとわからないっていうことですよね。もしくは「自分だって我慢したんだから、あんたも耐えなさい」という暴論か。または「男がセクハラに遭うわけがない」という思い込み。
N:あとはその人にどんなに力があっても、暗黙の了解として根付いている業界の慣習に逆らうと、男性でも業界から追い出されてしまうから。
P:警察に告発できないのも大きいよね。→当事者以外は目撃していないから、証言が伝聞になってしまう。証拠が残らない。
K:当人が被害者として届け出ないから犯罪として成立しないし、立件もしづらいですしね。犯罪者はそれをよくわかってやってる。
P:でもハーヴェイ・ワインスタインとジェームズ・トバックの事件はビバリーヒルズ警察がようやく捜査を始めたのよ。
K:ようやく……。今回はイギリスの方が、警察の対応が早かったです。
P:ニューヨーク警察はちょっと今回ダメだったわよね。
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※1 「アマゾン・ドット・コム」のテレビ・映画部門重役のロイ・プライスは、アマゾン・プライムビデオの番組プロデューサーにセクハラしたことを暴露された
Text: Yoko Nagasaka
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