ベテラン社員に響く、82歳のアプリ開発者・若宮正子さんの生きる道
2018/03/19(月)
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開発したゲームアプリ「hinadan」。

【マーちゃん道その1】年齢を経ても守りに入らず冒険して

若宮正子さんがパソコンと出合ったのは60代のとき。そして81歳にして独学でプログラミングを習得し、約半年でゲームアプリ「hinadan」をリリース。「最高齢の開発者」としてApple社の開発者会議に招かれ、CEOティム・クック氏とも面会したことで一気に注目を集め、今年2月には国連本部の会議でもスピーチを披露したばかり。60代で“翼を得た”若宮さんが、世界で羽ばたくまでの道のりをたっぷり語ってくれた。

ー今や世界を舞台に大活躍されていますね。

2017年にAppleの会議に招かれてから、世の中が変わりました。急に世界的な有名人になっちゃったのね。普通の人が一生かかるようなことを、1〜2年でやっちゃった。

ー2月には国連本部の会議でもスピーチをされています。いかがでしたか?

みなさんから温かい拍手をいただきました。特に緊張はしませんでしたよ。練習ではつっかえたりもしたんですけど、私はわりと本番に強いみたい(笑)。

ーしかも英語でのスピーチでした。ご準備はどうされたんですか?

英語じゃなくてもいいと言われてましたけど、自分の言葉で話したほうが訴える力があると思って。今回は私に“サポート部隊”がついてくださいました。その人たちのなかに英語ができる方がいるので、文章や発音を直してくださったり。私が作ったプレゼン資料のブラッシュアップもしてくださいました。今回、NYへの渡航費も宿泊費も自前だったんですけど、せっかくの機会だから行ってみようと。そうしたら、何人かのサポーターの方たちが交代で休暇を取って来てくださったんです。Airbnbも用意してくださって、私がひとりぼっちにならないようにって。

https://www.youtube.com/watch?v=gUjXiYtOC7Y

ーそうしたサポーターの方とはどこでお知り合いになったんでしょうか。

長年やっているNPOの仕事などで出会った方々です。あとは2014年に出たTEDxTokyoの講演をご覧になった方とか。Facebookで知り合いが増えて、自然と応援団ができちゃったの(笑)。

ーそのTEDでも見事なスピーチを披露されていました。大きな舞台でのチャレンジに不安や恐れを抱くことはありませんか?

それはもう、82歳の強さです。例えば私がスピーチの途中で詰まったって、みんな「歳だし当然だ」と思うでしょ。当時は79歳でしたからみんな心配していましたけど、最後までやれました。

ーそして80代に入ってからアプリを開発。若宮さんを次々とチャレンジに駆り立てる原動力は何でしょう?

好奇心 です。 20年前に作った自分のホームページには「ありあまっているもの、好奇心。足りないもの、時間」 って書いてあるの。ずっとそれが続いているみたい。国連行きもそうですけど、80歳を過ぎてからは“エイティーズの冒険”と称して、何でも冒険するようにしています。 若いころは、海外渡航が許可されたら(※)さっそくひとりで出かけて行ったりしてましたよ。

  • ※戦前から戦後にかけて特定の仕事や留学などの目的がなければ認可されなかったが、1964年から観光旅行が可能になった。(編集部註)

Interview&Text: Mirei Hirose

  • 若宮正子(わかみや・まさこ)/1935年、東京生まれ。東京教育大学附属高等学校(現・筑波大学附属高等学校)卒業後、三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に勤務。定年をきっかけにパソコンを独自に習得し、TED Talkにも登場、2017年にはiPhoneアプリ「hinadan」をリリースした。同年、Apple社の世界開発者会議(WWDC)に特別招待される。創設に参画したシニア世代向けのサイト「メロウ倶楽部」の副会長、NPO法人ブロードバンドスクール協会の理事も務める。近著に『60歳を過ぎると、人生はどんどんおもしろくなります。』(新潮社刊)

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