クラーナハのエロティシズムを現代アートで表現すると?
2016/12/05(月)
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左:森村泰昌《Mother (Judith I)》1991年
右:ルカス・クラーナハ(父)《ホロフェルネスの首を持つユディト》1525/1530年頃、ウィーン美術史美術館 ⓒKHM-Museumsverband

ヒロインも生首も! なりきりで名画を再現

画家の自画像や女優に「なりきる」手法で制作してきた森村泰昌。彼の《Mother (Judith I)》と《Mother (Judith II)》では森村自身によるユディトが、同じ森村の顔をしたつくりもののホロフェルネスの首を手にしている。
 
もとになったクラーナハの《ホロフェルネスの首を持つユディト》は旧約聖書の外典からとったもの。ユダヤ民族を攻めてきた敵の大将、ホロフェルネスをユディトが誘惑し、彼が泥酔して寝入ったところを寝首をかいてユダヤの民を危機から救うというエピソードだ。
「外見や性的な魅力で男を虜にし、倒してしまう力強い女性像に、男性である森村さんが自信の身体を投入するという、こみいった構造です。男女の性差の問題をゆさぶる作品だと思います。」
 
森村はフリーダ・カーロやマリリン・モンローなど、女性になりきることも多い。けれどこの作品は「強い男に勝つ弱いはずの女性に男性が扮する」という二重、三重の逆転が隠されている。ユディトのイメージは「男を翻弄する運命の女」的なイメージでクリムトらも画題にした。マゾヒスティックなものも感じさせて、展覧会でも人気の一枚だ。

Text:NAOKO AONO

  • クラーナハ展―500年後の誘惑
    ~'17年1月15日 国立西洋美術館
    1月28日~4月16日 国立国際美術館(大阪)
    http://www.tbs.co.jp/vienna2016/

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