- 【第一回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第二回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第三回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第四回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
カントリー音楽VSトロピカルハウス
では、最後にもう少しのんびりとした気分で最優秀新人賞を見ていきましょう。昨年の受賞者はメーガン・トレイナーでした。日本では“ぽちゃカワ歌姫”でしたっけ?そんなコピーでプロモートされました。いずれにせよ、女性の美しさは千差万別、その美しさは自分自身が決めるもの、という2010年代のフィメール作家たちのスタンスに連なる存在。昨年リリースの2ndアルバムは少しばかり迷走気味でしたが、現代のダンスポップのフォーマットに1940年代のスウィングジャズやジャズバラードの要素を溶け込ませたデビュー作品も最高だったので、ここは妥当な結果でした。と、上から目線ですみません。
今年ノミネートされたのは、次の5組。次世代のテイラー・スウィフトとの呼び声も高いカントリー畑出身のポップ歌手ケルシー・バレリーニ。マレン・モリスもカントリー畑出身ですが、彼女の場合、ゴスペル的な歌唱も特徴です。日本人からすると、常にグラミー賞にノミネートされるカントリー音楽の全貌というのはなかなか掴みにくいところもあるのですが、そこはやはり国を代表するジャンル。この2人のノミネートは、需要と供給それぞれの層の厚さを証明しています。
そして、EDMの覇権を完全にトロピカルハウスが凌駕した2016年を代表する存在がザ・チェーンスモーカーズ。彼らの最大のヒット「クローサー」は10週連続No.1。ノミネートされた5組の中でも、グローバルな人気という点からすれば、完全に頭ひとつ抜けています。2016年を代表するポップメイカーですね。そんな風に考えていると、必然的に最優秀新人賞を受賞するのは、この3組のうち誰か、ということになります。
Text: soichiro tanaka Photo: Getty, Aflo