- 【第一回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第二回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第三回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第四回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
音楽の新境地を切り拓いたアンダーソン・パーク
そして、もっとも受賞確率が低いのがアンダーソン・パーク。僕は、この5組のなかで音楽的にもっとも豊かな作品を上梓したのは、このアンダーソン・パークだと思っています。ヒップホップにゴスペルのソングライティングとテクスチャーを持ち込んだチャンス・ザ・ラッパーの『カラーリング・ブック』も大傑作なんですが、チャノ(チャンス・ザ・ラッパーの愛称です)の場合、新世代のリーダーがまさにその社会的な役割を果たしたという側面がとても強い。そうしたポイントが総合点にかなり加算されているわけです。
それに対し、アンダーソン・パークのアルバム『マリブ』というのはより音楽にフォーカスした作品と言えます。R&B、ネオソウル、ファンク、ヒップホップを横断した、2016年の新しいサウンドの品評会のような内容。なので、「今の音ってどんな音?」と思ったら、ぜひ彼のアルバムを聴いてみてください。
“グラミーの楽しみは主要4部門の結果に集約されている”という視点から受賞を予測していきましたが、もちろん、ほかのサブジャンルの賞も新たなポップ音楽を発見するには、ひとつの指標になります。ぜひ、2月12日(現地時間)の授賞式までいろいろとチェックしてみてください。
Text: soichiro tanaka Photo: Getty, Aflo