新作『君が君で君だ』が話題! 松居大悟監督インタビュー
2018/07/02(月)
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おまけ:松居監督の映画、まずはこの3本。新作舞台も注目!

①   奇跡の展開は鳥肌モノ!『私たちのハァハァ』(2015)

福岡県北九州市の片田舎に住む女子高生4人組が、クリープハイプのライブを観るために自転車で1000キロ離れた東京へ向かうという奇抜なロードムービー。シンガーソングライターとして活躍する井上苑子や、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18)での演技も記憶に新しい三浦透子など、松居大悟監督のキャスティング眼も光る。そして、フィクションの女子高校生たちが現実のクリープハイプと邂逅する奇跡の展開は鳥肌モノ。ビートルズがファンから追いかけられる初主演映画のタイトルが『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』(64)だったことにも気付かされるのだ。

 

②   斬新な映像表現も話題に『アズミ・ハルコは行方不明』(2016)

山内マリコの同名小説を原作に、地方都市に住む独身OL・安曇春子の失踪事件の背景と顛末を描いた蒼井優の主演作。アラサー、二十歳、女子高生の三世代それぞれの生き方を浮き彫りにしながら、アニメーションやプロジェクションマッピングなどを用いた斬新な映像表現も特徴。物語が実は複雑な時系列によって語られており、それを脳内で時系列順の並べ替えるという快感も本作の真髄。シンガーソングライターの石崎ひゅーいが役者として出演。松居大悟監督は、石崎ひゅーいのアルバム「花瓶の花」の初回特典DVDに収録されている短編映画『花瓶に花』でもメガホンをとっているという縁がある。

③   74分ワンカットの感動『アイスと雨音』(2018)

オーディションで集められた若者による演劇公演に向けて稽古が開始。ところが舞台は突如中止となってしまう。意気消沈するキャストたちは密かに稽古を再開し、ゲリラ的に舞台を復活させようと企む…というのがあらすじ。本作のオリジナリティは、彼らの1ヶ月間を74分ワンカットで撮影したという特異な点。今回のインタビューでも、舞台出身の松居大悟監督が「映画は時間を描く芸術」と答えている由縁でもある。募集時間100時間で集まった約400人から選ばれた8名のキャストによって構成され、MOROHAによる映画音楽も生演奏で挿入されるなど、現実と虚構が曖昧になる演出こそが松居大悟監督にとって「これが映画なのだ!」ということを理解させられる。

 

そして『君が君で君で君を君を君を』という『君が君で君だ』をリブートした舞台が、松居大悟監督主宰の劇団・ゴジゲン10周年公演として10月に上演される。松居大悟のこれからは、まだまだ目が離せない!

  • 『君が君で君だ』

    愛する女性のために、尾崎豊、坂本龍馬、ブラッド・ピットになりきり、自分を捨てた3人の男たちがいた。彼らはお互いを「尾崎」「龍馬」「ブラピ」と呼び合い、10年間に渡って彼女の棲む部屋の向い側に部屋を借り、静かに見守り続けていたのだ。ところがある日、平穏だった彼らの日常は混乱をきたすことになる…。松居大悟監督と主演の池松壮亮は、これまでも『自分の事ばかりで情けなくなるよ』(13)や『私たちのハァハァ』(15)などでも組んできた仲。尾崎を演じる池松壮亮のほか、龍馬に大倉孝二、ブラピに満島真之介、彼らが愛する女性を『息もできない』(10)のキム・コッピが演じている。またYOU、向井理、高杉真宙など豪華キャストが脇を固めているのも話題。

    7月7日(土)より新宿バルト9ほか全国公開。 
    https://kimikimikimi.jp/

Text:Takeo Matsuzaki  Photo:Michika Mochizuki

  • 松崎健夫(まつざき・たけお)

    映画評論家。『キネマ旬報』などに寄稿し、『WOWOWぷらすと』『ZIP!』『japanぐる〜ヴ』に出演中。共著『現代映画用語事典』ほか。

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