【ホルモン編】
「脂肪は全身に均一に沈着するのではなく、年齢や性別によってもそのつき方は異なります」と語るのは渋谷セントラルクリニックの河村優子院長。なぜ年を重ねるごとに“３＝部分的についた脂肪が落とせない”という状況が生まれるのだろうか。
 
過去のダイエットが脂肪を肥大させていた!?
「内臓脂肪が優先的に蓄積される男性に対し、女性は皮下脂肪の比重が大きいのが特長です。皮下脂肪は子宮を守ろうとする女性ホルモンの働きにより、20代以降は下半身を中心に長い年月をかけて沈着されます。また、上半身の皮下脂肪や内臓脂肪は、脂肪細胞が肥大するのでダイエットに反応しやすいといえます。その一方で、下半身の脂肪は脂肪細胞の数が増えることで脂肪を蓄積しています。そのため下半身の皮下脂肪に含まれる脂肪細胞の数は、一度増加してしまうと食事制限などでは減らせず、リバウンドを繰り返すことで肉付きが均一でなくなるどころか、体型が崩れるという状況に。あるパーツは華奢でも、下半身や部分的にどっしりと脂肪細胞がついてアンバランスになってしまうことが部分太りに起きている症状といえます。端的な食事療法ではなく、“脂肪を燃焼させるためのホルモンアプローチ”を考えるのが先決です」
 
ダイエットにまつわる３つのホルモン
「ダイエットに欠かせないホルモンは、大きく分けて３つ。まずは、私たち女性に欠かせないエストロゲン。生理後に優位になるこのホルモンは、活性酸素の除去や内臓脂肪をつきにくくする嬉しい作用をもたらします。次に、脂肪を燃やす成長ホルモン。筋肉をつけたり基礎代謝・免疫力をアップさせるのに必要不可欠。これは睡眠や筋トレで分泌量を増やせますが、特に睡眠は重要。食欲を抑えて脂肪を消費するレプチンも同時に分泌されるので一石二鳥です。最後に、甲状腺ホルモン。タンパク質の合成や酵素の生成をはじめ、体のあらゆる機能に関わる、いわばダイエットの司令塔とも言える存在。良質な食事で量を増やすことも大事ですが、むしろストレスや不摂生で甲状腺ホルモンを損なわないことに注力しましょう」
 
ホルモンの成績表は遺伝子検査でチェック
「ホルモンの分泌量やインスリンの抵抗性、生まれながらの体質は“遺伝子検査”で知ることができます。この検査はやせるための対策はもちろん、リバウンドを防ぐのにも有効です。また、食材による遅発性アレルギーもさまざまな影響をもたらすことが分かってきました。肌や生理現象など、目に見える症状がなくとも、体に合わないものを食べ続けることで、臓器が慢性的に肌荒れやかぶれに似た症状を起こしていることも。体の防衛本能が働いてむくんだり、体重が増加したりすることもあるので、自分がどの食材で炎症反応を起こすかをクリニックで調べるのもよいですね」