ツイードのスーツ
ガブリエル シャネルは生涯で出会った男性たちの力の抜けたエレガンスに刺激を受け、男性のワードローブからさまざまな要素を女性のワードローブに取り入れて、当時のドレスコードを大胆に打ち破った先駆者。そのひとつが、「シャネル」のクリエーションを語るのに欠かせない、スコットランド生まれの伝統ファブリック“ツィード”。1920年代半ばに出会った、ウエストミンスター公爵との付き合いのなかで、公爵からツイードのジャケットやカシミアのセーター、パンツなどのスポーツウェアを借りて着ていたことから、ツイードの服への愛着を深めたガブリエル シャネル。1924年にファッションデザイナーとして初めてツィードをレディースウェアに取り入れ、1956年にはツィードで仕立てた伝説の「シャネル」スーツが誕生。
text:RUMI TOTOKI