『ゴーン・ガール』
ベン・アフレックとロザムンド・パイクが夫婦を演じます。この夫婦は、おたがいに対しても、世間に対しても、ほんとうのことを言いません。そして相手を愛さないで、支配しようとします。支配することが愛だと思いこんでいるのかもしれません。
この映画のストーリーは非常に極端ですが、多くの現実的な結婚や夫婦生活が、嘘のつきあい、支配の戦いであることの戯画化なのだと考えることもできます。嘘つき同士、支配欲求が強い者同士の結婚は、最後にはサイコパス傾向の強いほうが勝ちます。凡人のほうは、どんなに強力な味方をつけても敗北します。
結婚するのがいやになる恐ろしい映画です。どうしても結婚したいのなら、そしてあなたが凡人なら、自分の支配欲や嘘を「愛」だと思いこむのは、やめましょう。ぜひ恋人か配偶者と2人で観てください。
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〈作品紹介〉
『ゴーン・ガール』
理想的な夫婦と見られていたニックとエイミー。が、妻エイミーが失踪したことで世間はニックに同情したのもつかの間、彼が浮気したことを知り疑いの目を向け始める。あまりにも生々しい夫婦像を描きすぎているため、年配男性の多いアカデミー会員が受賞させなかったのではと、まことしやかに噂されるほど話題になった、“理想の夫婦像”の偽善を露呈させた話題作。
出演/ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー
監督/デヴィッド・フィンチャー『ドラゴン・タトゥの女』『ソーシャル・ネットワーク』『セブン』
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二村ヒトシ/アダルトビデオ監督。1964年六本木生まれ。慶應大学文学部中退。1997年にAV監督デビュー。痴女もの、レズビアンものを中心に独創的な演出のアダルトビデオ作品を数多く手掛けるかたわら、『すべてはモテるためである』(イースト・プレス刊)、『恋とセックスで幸せになる秘密』(同)などの著書で、恋愛やモテについて鋭く分析。女性とセックスを知り尽くした見識に定評がある。最新刊『淑女のはらわた』(洋泉社刊)、『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(文庫ぎんが堂刊)、『オトコのカラダはキモチイイ』(KADOKAWA/メディアファクトリー)も好評発売中。
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text : Hitoshi Nimura