世界的写真家、ロベール・ドアノー氏の孫娘が語る「祖父の愛したパリ」
『パリ市庁舎前のキス』(1950年)で名高いフランスの写真家、ロベール・ドアノー氏。パリのストリートで毎日のようにカメラを構えていたというドアノーは、1994年の没後も世界中で愛され続け、日本国内でも展覧会が複数回開催されるほどの人気。今なお色あせない彼の貴重なプライベートフォトとともに、孫娘の仏ジャーナリスト、クレモンティーヌ・ドルディルさんが「祖父と私」「変わらぬパリの魅力」そして大好きな東京についても特別に語ってくれた。
Q11 クレモンティーヌさんが感じる、東京とパリの違いは何でしょう?
自然、時間、静けさ。私は東京が大好きです。想像していた街とまったく異なる「顔」を見せるから(その点、パリはあまりにも想像どおりかもしれません)。公園、木々、庭園、茂みなど、私から見ると東京は自然が多いと感じます。そして自然は人間よりも強く、自然が支配するなかで人々が暮らしている気がするんです。
そして街の静寂。パリの街はうるさくて、その喧騒がときに疲れます。東京では、通りも車も地下鉄も人同士も、すべて静かで落ち着きます。東京で流れる時間もパリとは違う。赤信号、地下鉄の駅での停車時間、街を歩くスピード、すべてがゆっくり感じますね。そのせいか思考もゆったりしていて、それはとてもよいことだと思います。
Q12 東京でお気に入りの場所、お気に入りのものがあれば教えてください。
渋谷のアートスペース「アツコバルー」はお気に入りの場所です。いつも興味深いアーティストを発見できるから。東京の公園はどこも好きです。東京に来ると必ず訪れる新宿ゴールデン街の小さなレストラン。あそこのサラダは絶品! 伊勢丹新宿店の地下1階のフードフロアでは、食の素晴らしさを何時間もかけて体感するのが楽しみですね。そのあと地上階に戻り、今度はまるで美術館の中にいるかのようにショーウィンドーに見入っています。本当に素晴らしい百貨店ですよね!
東京にいると、とてもアットホームな感じがします。それがなぜだか分からないので、何回も来てその答えを探し続けているような感覚ですね。
-
ロベール・ドアノー 写真と朗読でつづる自伝的試み
開催日時/2015年10月14日(水)14:30~17:00(開場14:00)
場所/早稲田大学小野講堂
東京都新宿区西早稲田1-6-1
入場無料
http://www.contact-tokyo.com/information/20150901-kanren-roudoku/
Photo : Yusuke Kinaka、GettyImages
-
ビストロ「Le Select(ル・セレクト)」
パリ6区 モンパルナス通り99番地
ビストロ「Les Negociants(レ・ネゴシアン)」
パリ18区 ランベール通り27番地
ビストロ「Terminus Chatelet(テルミニュス・シャトレ)」
パリ1区 デ・ラヴァンディエール サント・オポルチュンヌ通り5番地
フォトギャラリー「Camera Obscura(カメラ・オブスキュラ)」
パリ14区 ラスパイユ通り268番地
ビュット・ショーモン公園
パリ19区 ボッツァリス通り1番地
ロベール・ドアノー著/堀江敏幸訳/2010年刊行
http://getsuyosha.jp/kikan/doisneau.html