世界的写真家、ロベール・ドアノー氏の孫娘が語る「祖父の愛したパリ」
『パリ市庁舎前のキス』(1950年)で名高いフランスの写真家、ロベール・ドアノー氏。パリのストリートで毎日のようにカメラを構えていたというドアノーは、1994年の没後も世界中で愛され続け、日本国内でも展覧会が複数回開催されるほどの人気。今なお色あせない彼の貴重なプライベートフォトとともに、孫娘の仏ジャーナリスト、クレモンティーヌ・ドルディルさんが「祖父と私」「変わらぬパリの魅力」そして大好きな東京についても特別に語ってくれた。
Q9 パリで個人的によく行く場所や好きなアドレスは?
私が住んでいるパリ18区のラマルク地区が大好きです。とても落ち着いた雰囲気で、レストランもショップもあります。肉屋、パン屋、食料品店など、「食」にまつわるお店が目立つのが特徴的。モンマルトルのぶどう畑や曲がりくねっている小道など、いかにもパリ!というような風景ですが、素敵なエリアなんです。こんなところに住める自分はすごくラッキー。もちろんパリのほかの地区も好きです。
例えば……レストランなら、ヴァヴァン~モンパルナス界隈にある本格派ビストロの「セレクト」。長年通い詰めているので、ギャルソンともすっかり顔見知りになりました。フォトギャラリー「カメラ・オブスキュラ」へも頻繁に足を運びます。初めて写真を買ったのもこのギャラリーで、ドゥニ・ダイユー氏の一枚でした。彼の作品はすべて好きです。夏の夜のビュット・ショーモン公園も最高です!
Q10 パリの街並みで変わったもの変わらないものは何ですか?
祖父が亡くなってからも街自体はあまり変わっていませんが、人々のパリを見る目は変わったかもしれません。少なくとも祖父が見ていたパリはなくなりました。ですが、近所のビストロ「レ・ネゴシアン」や「テルミニュス・シャトレ」など、いまも存在し続けているものもあります。ドアノーは過去に固執する人ではありませんでした。むしろ街並み(つまり彼の撮影スポット)がコロコロ変わるのを面白がって観察していました。もし生きていたら、祖父は新しくなったトルビアック地区をカラーで撮影していたでしょうね。
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ロベール・ドアノー 写真と朗読でつづる自伝的試み
開催日時/2015年10月14日(水)14:30~17:00(開場14:00)
場所/早稲田大学小野講堂
東京都新宿区西早稲田1-6-1
入場無料
http://www.contact-tokyo.com/information/20150901-kanren-roudoku/
Photo : Yusuke Kinaka、GettyImages
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ビストロ「Le Select(ル・セレクト)」
パリ6区 モンパルナス通り99番地
ビストロ「Les Negociants(レ・ネゴシアン)」
パリ18区 ランベール通り27番地
ビストロ「Terminus Chatelet(テルミニュス・シャトレ)」
パリ1区 デ・ラヴァンディエール サント・オポルチュンヌ通り5番地
フォトギャラリー「Camera Obscura(カメラ・オブスキュラ)」
パリ14区 ラスパイユ通り268番地
ビュット・ショーモン公園
パリ19区 ボッツァリス通り1番地
ロベール・ドアノー著/堀江敏幸訳/2010年刊行
http://getsuyosha.jp/kikan/doisneau.html