R.I.P./戦友、リチャード・ニコルへのトリビュート
2016年10月、ロンドンコレクションで約10年間に渡りコレクションを発表してきたデザイナー、リチャード・ニコルが心臓発作で逝去。今シーズンのメーン会場エントランスには、有志で集まった友人がパントーン社に依頼して誕生した、"ニコル ブルー"と名付けられた(ニコルは自身のコレクションでブルーを多用)オリジナルのカラーのパネルと、追悼メッセージがお出迎え。
ニコルは数シーズン前から自身の名前を冠したブランドを休止し、フリーランスデザイナーとして活動をスタート。2017年に発表されるはずだった「アディダス」とのコラボレーションに着手し始めた矢先の訃報だった。
ロンドンで活躍するデザイナーには、セントマーチン卒のニコルの学友も多く、共に英国ファッションを盛り上げてきたメンバー。ショー会場の席に用意されるプレスリリースには、「IN MEMORY OF RICHARD NICOLL(リチャード・ニコルに捧げる)」のメッセージを添えたデザイナーも。特に仲が良かった友人「ロクサンダ」もその一人で、彼女が発表したランウェイのBGMはなんと、イギリスを代表するミニマル・ミュージックのコンポーザー、マイケル・ナイマン御大によるピアノの生演奏!!(泣) カルト的人気映画『ガタカ』('97年)や、ロンドン好きにおすすめの『ひかりのまち』('99年)、もっと有名どころだと『ピアノ・レッスン』('93年)といった名作の音楽を手掛けた巨匠で、ファッションとのコラボは初めてだそう。ナイマン氏が入場し、鍵盤に手を置くまでの緊張感がピアノの音色で解き放たれ、そこで登場したファーストルックがニコル ブルーのワントーンルックだったとき。ぐっとこみ上げるものがありました。
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