アートがなくちゃ始まらない。前衛的な試みも
メーン会場とは別に、毎シーズン「トップショップ」がスポンサーとなるサブ会場が出現するLWF。今シーズンは、昨年オープンしたテート・モダン美術館の新館"スウィッチ・ハウス"でした。旧火力発電所をギャラリーに改装した本館"ボイラー・ハウス"を手掛けた建築家が続投した、煉瓦の外壁とねじれフォルムがアイコニック。2017年6月11日までヴォルフガング・ティルマンス展が開催されていて、ショーの合間に少しだけ鑑賞することができました。
「クリストファー ケイン」の会場はテート・ブリテン。夏になると観たくなる、プールの絵(だけじゃないけど)で有名なデイヴィッド・ホックニー展がランウェイの真横で開催中。チケットは数週間前からリザーブしないと鑑賞できないという大盛況ぶりで、美術館まで来ていながら当日券は完売、作品を見ることは叶わずでした。そんな大盛況のホックニー展を思わせる、ウォーターカラーのようなダマスク織のドレスでショーがスタート。ユニフォームとユーティリティというテーマを、マジックテープやポケットのディテールに落とし込み、力強い女性らしさを表現したコレクションでした。
昨シーズンに引き続き、ランウェイ終了直後から店舗とオンラインで購入できる"shop the show"形式で発表した「バーバリー」でも、アートとの強い結びつきを感じました。イギリス人アーティスト、ヘンリー・ムーアの作品と制作プロセスからヒントを得て、ムーアの作風である曲線的なフォルムや空洞を、シルエットとディテールで表現。フィナーレでは、全モデルが1点物のケープをまとって登場するというサプライズも。ショー翌日の会場では、ムーア作品とフィナーレで登場した78点のケープを一般公開。日本を含む世界各都市でエキシビションが開催されるというからお楽しみに。
"プレゼンテーションが完成するまで"をテーマにした「MM6」。デザインチームの手仕事や、ルックブックの撮影風景をそのまま再現した、臨場感たっぷりの演出でした。マルジェラのアトリエを忠実に再現したセットで、待合室(これもセット)から入ってきたモデルのヘア&メイクをタッチアップし、カメラの前へ。最新ルックそのものは、充電コードをベルトにしたり、ヘアにタグを使ったりと、近くにあるものを代用。即興的つまりスポンテニアスであることを"リアリティ"と解釈した、マルジェラらしいアティチュードでした。
そこまでリアル!?と驚いたのは、秋に売り出す100枚限定Tシャツを、プレゼン中に刷っていたこと。あの時あの場所でカスタムされたTシャツを手にすることができたら、リアルなことこの上ない……。そんな「MM6」のプレゼンの全貌は、エル・オンラインエクスクルーシヴな動画でチェック。
https://www.youtube.com/watch?v=R8fYLsetz-s&feature=youtu.be
photo: Getty, Aflo, Imaxtree