恋多きフレンチ映画監督が、新作で究極の愛を語る!
現在公開中の『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』で監督を務めた女性監督、マイウェン。10年の構想を経て生まれたというこの作品には、フランス女性ならではの視点で描かれた恋愛の教訓がたくさんつまっている。来日した彼女にインタビュー。
フランス人が恋愛に長けているというのはデマ!?
———フランス女性は恋愛上手というイメージがありますが、描かれるドラマはこれまでの恋愛や結婚、離婚を通して学んだ教訓なのでしょうか。
まず、フランス人が恋愛に長けているというのは完全なデマね。フランス人は男も女もとにかく批判好きで、現状に満足しないの。文句ばかり言っているうちにストレスと欲望が高まって恋に走るっていうのが私の持論(笑)。フランスでは誰もかれもが感情をむき出しにするから、日本に来ると人々が感情を内に秘めて、私はまるで真綿にくるまれているように感じて癒されるわね。
———トニーは、リハビリセンターで過去を振返り、自分を見つめるうちに、膝の痛みとともに心の痛みも癒すのでしょうか。
トニーは、ジョルジオがあまりにも好き過ぎて、少しづつ犠牲者のようになっていく。一般的に女性は子供ができると、男を恋人や夫としてみるより、子供の父親としてみてしまう。子供が幸せなら、私も幸せという発想になるから、自分を犠牲にしてでもダメ男と離れ難くなる。それを切り替えて、ママが幸せなら、子供も幸せっていう理想に立ち返るの。その点、いつまでたっても自分が可愛いのが男。
———やはり恋愛には、男女の性差が関係すると?
性差というより成熟度の違い。男性より女性の方が成熟しているから。男女ともに美しい相手に惹かれるけれど、男の方がもっと本能的で動物的。頭で考える前に本能で突き進むけれど、女性はそこで理性が働く。それに私は、自由に恋愛し、人生を謳歌している女性をすごくセクシーだと思うけれど、男は次々と違う相手と恋愛している女性を「あばずれ」と後ろ指を指す。この差別はユニバーサルなものだけど、闘わなくちゃね。
———しかし『モン・ロワ〜』は、ジョルジオをエゴイスティックなだけの男として描かず、トニーの気づきと再生を描いていますよね。
そう。この映画は勿論私の過去の恋愛や結婚から学んだことや感情が盛り込まれているけれど、もっと男女の関係の普遍性を追求したつもりなの。
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『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』
弁護士のトニーは密かに憧れていたジョルジオと再会し、恋に落ちる。彼のプレイボーイの過去に不安に感じながらも、トニーはジョルジオの「運命の女だ」という言葉を信じて結婚、そして妊娠する。奔放な夫に苦しめられながらも、トニーは彼と別れられない。そんな波乱に満ちた10年だったが、それはトニーの生きた証だった。
監督/マイウェン
キャスト/ヴァンサン・カッセル、エマニュエル・ベルコ、ルイ・ガレル、イジルド・ル・ベスコ、クリステル・サン=ルイ・オーギュスタンほか
公開中
http://www.cetera.co.jp/monroi/
Photo: Kei Masuda Text: Reiko Kubo