インタビュー 2014/11/4(火)
ワーキングウーマン必読!

仏の女性権利担当大臣が語る、今あるべき女性の働き方

9月に東京で開催された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」のために来日した、フランスのパスカル・ボワタール女性権利担当大臣。仕事と子育ての両立、社会における実質的な男女平等など、エル・オンライン世代のワーキングウーマン必読のインタビューをお届け!

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女性の権利を議論する必要がない未来へ

―日本の状況で言えば、日本女性は文化的・歴史的な背景として慎ましやかであるとか、権利をあまり主張しないとか、遠慮をするといった傾向があります。フランスでは女性が権利を主張するうえで障害になるようなものはあるのでしょうか?
女性の権利主張がなかなか浸透しない理由としては、それぞれの女性の置かれた立場が違うということがあります。そして状況を前進させようとする人が出てきても、なかなか進まない場合もある。今回の法律では、権利に対するアクセスを均等なものにする、ということを目的のひとつにしています。誰に対しても同じように適用されるのだということを主張したいと思っています。
 
―女性の権利について考えるときに、自国の文化に沿って議論していくことが大事だと思いますか?
それぞれの国の文化を反映することはとても重要なことです。女性の権利を守ったり、男女平等を謳うにしても、ひとつの型というものはないと思っています。ひとつずつ、 国の文化に合わせて進めていくことは必要ですが、基本的な権利というものは共通しているのかもしれません。広い視野から見れば、この地球上には女性と男性しかいませんし、その数はだいたい同じだと考えるべきです。主要な民主主義国家において、女性の存在は無視できないものであり、企業や政府でも、もっと女性が責任あるポストにつくことが何よりも重要だと思います。 
 
―日本に限らず、世界的にも組織の管理職には男性が多いという現状があります。数字上で女性の参加を増やすこと、数字上の平等が本質的な男女の平等につながるとお考えですか?
これはなかなか難しいところがありますが、今おっしゃったような数の上での平等については、同意しています。実は昨日、実業界、大学関係の方々と話す機会があり、そこで「お互いに連帯感をもって男女平等を推し進めていくべき」だと話しました。各分野で象徴的な存在になっている方を見れば、若い女性もそれを目指して頑張っていけるのではないかと思いますから、ぜひ若い方のお手本になっていただきたい、とお伝えしました。
 
現在のオランド大統領の考え方としては、まずは自分の内閣がお手本にならなければいけないということで内閣改造を行い、閣僚の数を男女ほぼ同数にすることを実現しました。こうして前進を示すことは重要ですし、また8月に定められた法律では、大企業にもそれを求めています。期日までに責任ある役職に就く女性の数を40%まで上げるという数値目標を定め、もしそれが達成できない場合には経済的な制裁を加えることもあるという内容です。
 
―これからの時代、女性にとって大切だと思うことを教えてください。
これから先のことを考えていくうえで、ひとつ希望があるとすれば、今、私が先頭に立っている女性の権利を保護するための職自体がなくなることですね。その職がなくなるということは、もはや問題ではないということですから。そしてできることならば、女性に関する議論も、小さな規模にとどめられたらいいと思います。なぜ今これほど大きな声で基本的な権利について話し合っているかというと、女性の立場がまだしっかりと確立されていないからなのです。とても意味深い、興味深い議論ではありますが、この現状を乗り越えて、もっと他のことを話し合える時代になればいいと思っています。

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photo : Yoshihiro Toyota

  • パスカル・ボワタール/1971年、フランス・モン=ド=マルサン生まれ。厚生・女性権利大臣付女性権利担当大臣。パリ第8大学を卒業(政治科学専攻)後、2001年より職業教育担当大臣官房議会秘書。2008年~2012年、パリ議会議員を経て、2012年に国民議会議員に選出。2014年8月より現職。

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